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2015 Fiscal Year Annual Research Report

茶で検出されたニコチンの起源の解明

Research Project

Project/Area Number 26292010
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

森田 明雄  静岡大学, 農学部, 教授 (20324337)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 一家 崇志  静岡大学, 農学部, 助教 (90580647)
荻野 暁子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70370567)
古川 一実  沼津工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90353151)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords工芸作物 / 茶 / ニコチン
Outline of Annual Research Achievements

昨年度までの研究結果より,茶葉から検出されたニコチンの起源については,内因性の可能性が示唆されているが,確証を得るまでには至っていない.そこで,平成27年度はチャにおけるニコチン生合成経路の探索と同時に,世界各地の茶製品,茶品種,チャ培養細胞を対象に,LC-MS/MSによるニコチン含量の定量を行った.まず,世界各地の茶製品102点を分析したところ,その全てから残留基準値以上のニコチンが検出され,特にインド産紅茶からは乾物1 gあたり最大0.7 μgと,日本産の緑茶と比べ35倍以上のニコチンを検出した.茶品種のニコチン定量に関しては,野菜茶業研究所内圃場のチャコアコレクション (192系統) の成葉を対象にニコチン含有量を調査し,ニコチン含量には品種間差があることを明らかにした.
チャのmRNA配列データベースからニコチン生合成関連遺伝子群 (PMT,QPT,MPO,ODC,QS) の配列取得を行い,PMTを除く遺伝子群についてmRNA配列を取得した.チャ培養細胞を用いて,これら遺伝子群のジャスモン酸メチル (MeJA) 応答性とニコチン生合成能との関連性について調査した.MeJA処理により,これら遺伝子群の発現量が増加したものの,ニコチン含量の有意な増加は見られなかった.
ニコチン生合成関連遺伝子のチャ組織への導入のために,主としてパーティクルガンによる遺伝子導入法の検討を行った.その結果,射入距離6 cm、ヘリウムガス圧11000 psi,金粒子径1 µmの条件下において,導入したプラスミドのイネユビキチンプロモーターおよびCaMV35Sプロモーターがチャ組織で機能することが分かった.また,形質転換材料である不定胚の安定供給およびチャに特有のパーティクルガン処理後の培養プロセスを考案したところ,マンニトール処理は不定胚の生存率を低下させること分かった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

QuEChERS法による抽出法とLC-MS/MSを用いたニコチン定量法の最適化により,多検体の分析サンプルを迅速且つ正確に定量可能となった.茶園でのサンプリングは概ね順調に遂行でき,定量実験も順調に行っている.生合成遺伝子について,PMTについては以前難航しているものの,チャのRNA-seq解析を用いたデータベースを構築したことにより,多くのニコチン生合成関連遺伝子を単離することに成功した.
チャ組換え体の作製については,ボンバードメント前後に多くの植え替え操作を行うことで不定胚の生存率を低下させることが分かった.チャの不定胚にパーティクルガン処理を行う際には,オーキシン存在下で不定胚を培養し,ボンバードメント処理後には植え替えずそのまま暗黒下で培養を行い,約1ヵ月後にホルモンフリー培地に移植することで形質転換二次胚を誘導することが可能であることが明らかとなった.

Strategy for Future Research Activity

これまでと同様に,世界各地の茶産地または品種についてニコチン含量の定量を行う.現在までに,ニコチン含有量には品種間差が確認できた.そこで,茶期別のサンプル間差と年次間差についても検討する.また,平成28年度は,水耕栽培系またはチャ培養細胞の無菌培養系を用いた生体内での生合成経路の探索を中心に行う.具体的には,ニコチン生合成系遺伝子群のさらなる単離・同定を進め,MeJA応答性などの生理応答試験を行う.遺伝子同定試験についてはAgrobacterium rhizogenesを用いた組換え系をにより実施する.
さらに,ニコチンの生合成経路を基に,より低濃度に抑えることができる栽培技術を開発し,栽培現場にアウトプットする.例えば,ニコチン含量について環境要因の寄与率が大きければ,ニコチン生合成経路に関与する遺伝子について環境応答性 (温度,栄養,土壌条件など) を解析し,ニコチン含量と栽培条件との関係性からニコチンを低減できる栽培技術を開発する.具体的には,水耕栽培チャ樹を用いたモデル栽培試験を実施し,ニコチン含量との関係性を評価する.
一方,組換え体の作製については,3種類のアグロバクテリウム (LBA4404,EHA105,GV3101) の感染条件と,どの菌株が遺伝子導入に適しているかを再検討する.さらに,ベクター構築を進める.

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] チャ(茶樹Camellia sinensis)の形質転換のための培養プロセス2016

    • Author(s)
      古川一実,小泉舞衣,堀内郁美,大嶋雅夫,田部井豊,一家崇志,森田明雄
    • Organizer
      日本育種学会
    • Place of Presentation
      横浜市立大学(神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2016-03-21 – 2016-03-22
  • [Presentation] チャに含まれるニコチン定量法の確立とその成分特性の解析2015

    • Author(s)
      栗田郁也,一家崇志,谷口郁也,荻野暁子,根角厚司,森田明雄
    • Organizer
      日本土壌肥料学会
    • Place of Presentation
      京都大学(京都府京都市)
    • Year and Date
      2015-09-09 – 2015-09-11

URL: 

Published: 2017-01-06  

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