2014 Fiscal Year Annual Research Report
ネギ属バイオリーソースを用いたオミクス統合解析のタマネギ育種への応用
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26292020
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
執行 正義 山口大学, 農学部, 教授 (40314827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 有司 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (00415176)
伊藤 真一 山口大学, 農学部, 教授 (30243629)
佐藤 修正 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (70370921)
若生 忠幸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所, 上席研究員 (70414670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 染色体マーカー / 連鎖地図 / 植物病害抵抗性 / 単一異種染色体添加系統シリーズ / 倍加半数体 / ネギ類 / トランスクリプトーム解析 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】染色体マーカーの開発:当初計画を以下のように改めた.この度の葉鞘部のRNA-Seqで得られたシャロットとネギの間の配列多型を用いてシャロット由来の遺伝子のみがマップされる同植物のunigeneが約8000存在した.シャロットに近いRPKM値を示す添加系統を確認することにより座乗染色体を推定する事が可能であり,添加系統のトランスクリプトーム解析を介して染色体マーカーを大量に取得する系が確立された. 【2】F2集団を用いた飽和連鎖地図の構築:F2マッピング集団(186個体)を用い,46マーカーにより9連鎖群,449cMから成るAllium cepa連鎖地図を作成することができた. 【3】添加系統シリーズの根部試料を用いたトランスクリプトーム・メタボローム解析」:添加系統シリーズ(8種類)と両親種採取した根部と葉鞘部を以下の解析に用いた.文科省と東農大のゲノム解析支援による助成を受け,それぞれ解析を行なった10系統の根と葉鞘のRNA-seqデータについて,シャロット葉鞘のunigeneセットとネギ葉鞘のunigeneセットをリファレンスとしてマッピングを行なう事により,RPKM値を集計し,比較解析用データを整備した.データ整理の結果,添加したシャロット染色体に由来すると考えられるシャロットの発現遺伝子の情報やシャロット染色体の添加により発現誘導されたと考えられるネギ遺伝子の情報を得る事ができた。メタボロ解析に関しては,20種類のサンプルを独立個体由来で3反復において499種の代謝産物の高感度検出条件を検討した.その結果,123種の代謝産物が高精度に検出でき,ネギ類に特徴的な2次代謝産物の生合成に関連する染色体を推定できた. 【7】新規選抜指標による優良個体選抜:添加系統シリーズと両親種の根部から抽出した粗サポニン抽出物を用い,フザリウム菌に対する増殖抑制活性試験を実施し,物質の特定を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各小課題ごとの達成度とその理由を以下に述べる. 「【1】染色体マーカーの開発」:100%(理由)添加系統のトランスクリプトーム解析より、従来法を凌駕する手法を考案し,予想以上の染色体マーカーを短期間に確立できたため。 「【2】F2集団を用いた飽和連鎖地図の構築」:60%(理由)野菜茶業研究所担当者はタマネギ・シャロット(Allium cepa)を用いた実験の経験が乏しく、通常のネギ用DNA多型解析の系を同植物種へ適応することが難航したため。 「【3】添加系統シリーズの根部試料を用いたトランスクリプトーム・メタボローム解析」:90%(理由)トランスクリプトームとメタボローム解析は予定通り進んだが、根部からのサポニン類の抽出に手こずったため。 「【7】新規選抜指標による優良個体選抜」:70%(理由)サンプルの準備と実験系の確立に時間を要したため。 以上より、現在までの達成度は約83%となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの達成度】のところで示したように、二つの小課題において達成度が低くなっている。そこで、それらについて、今後の対応策を以下に示す。 「【2】F2集団を用いた飽和連鎖地図の構築」:60%(対応策)今後は、F2集団を用いたRNA-Seqを新たに実施し、Transcriptome-based genotypingを行うことで連鎖地図中のマーカー数を飛躍的に増大させることを目指す。 「【7】新規選抜指標による優良個体選抜」:70%(対応策)予備試験を入念に行ったことで、結果の見えやすい実験系が確立された。今後は、本試験を慎重に行い、病害抵抗性に強く関与する染色体領域の早期の同定に繋げて行きたい。 また、「【3】添加系統シリーズの根部試料を用いたトランスクリプトーム・メタボローム解析」の小課題については、解析試料に葉身部(緑葉部)を加えて、同部位における重要病害である‘さび病’に対する抵抗性の遺伝的メカニズム解明も行っていくことにする。
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Causes of Carryover |
野菜茶業研究所におけて、F2集団のDNA多型解析を行う系の確立に手間がかかり、思うように大量解析の系を回せなかったので、試薬・消耗品代を来年度へ留保したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この度の努力で秀逸な実験系が構築され、今後はハイスループット解析を本格的に稼動させる必要がある。したがって、繰り越した助成金は滞りなく執行される予定である。
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Research Products
(2 results)