2016 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス・卵菌複合抵抗性を支配する植物免疫受容体の機能解明と防除応用への分子基盤
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26292022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 杉尋 東北大学, 農学研究科, 准教授 (10442831)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス / NB-LRR class Rタンパク質 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
キュウリモザイクウイルス黄斑系統 [CMV(Y)] 抵抗性遺伝子RCY1の発現量は、CMV(Y)抵抗性の強さと相関する。RCY1発現およびCMV(Y)抵抗性を調節する新規宿主因子の探索するため、RCY1形質転換シロイヌナズナ系統Col::pRCY1-HA#13 (以下#13) に変異原EMSを処理し、後代からCMV(Y)高度抵抗性が誘導されなくなる変異株[suppressor of RCY1-mediated resistance to CMV(Y) (src) ]を独立に8系統 (m1~m8) 単離した。野生型の#13は、RCY1遺伝子を10コピー有し、CMV(Y)に対して単一細胞レベルの高度抵抗性を誘導する。src8系統 (m1~m8) では、CMV(Y)初期感染部位において過敏感細胞死が誘導されずCMV(Y)が全身移行した。またm1~m8系統では#13に比べてRCY1蓄積量が1/100前後に減少していた。したがって、変異株におけるCMV(Y)高度抵抗性誘導能の欠失は、RCY1 mRNAレベルの低下を介したRCY1タンパク質蓄積量の減少に起因することが考えられた。 m1~m8系統では、RCY1発現を制御する因子に変異が生じている可能性が考えられたことから、RCY1発現が#13の1/100前後減少しているsrc1-src8系統と#13系統間の交配後代F2を用いて、RCY1発現量とCMV(Y)に対する応答を解析した。その結果、1-6%の個体のみがCMV(Y)に対して高度抵抗性を示した。よってsrc変異によるRCY1発現減少は、エピジェネティックな調節に起因すると考えられた。RCY1上流領域のメチル化シトシン (mC) は、#13系統に比べて、src1-src8系統で増加していた。また#13系統とsrc系統間の交配後代F2において、RCY1発現減少レベルとmCレベルが相関していた。以上より#13 src系統においてRCY1メチル化が,RCY1発現抑制に関与しているものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、RCY1遺伝子発現制御システムの解析と同時に、RCY1タンパク質と病原体因子の結合実験を計画しているが、当初の予想以上に、イオン強度とpHが結合に影響することが明らかになった。研究の遂行上、安定した結合条件を見出す必要があることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
RCY1タンパク質と病原体因子が結合するイオン強度やpHなどの条件を詳細に検討し、安定的して結合する方法を見出す。その結合解析方法を用いて、RCY1タンパク質、RPP8タンパク質、およびRCY1/RPP8キメラタンパク質と、病原性因子の結合を解析したのち、研究の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
Rタンパク質と病原性因子の結合条件の検討が必要になったため。
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