2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物絶対共生菌の革新的遺伝子サイレンシング法が開く菌根共生の分子基盤
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26292034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江澤 辰広 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40273213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 税 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60281854)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / 遺伝子サイレンシング / 共生 / 植物ウィルスベクター / リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
I. AM菌遺伝子ノックダウン法の効率化検討 標的遺伝子の発現量を高く維持させ、ノックダウンの効率を高めるために、植物―菌根菌培養土(砂)の粒度、水分管理および施肥量など、AM菌の活性に影響する環境条件を最適化したところ、AM菌水チャネル遺伝子の発現を70%低下させる条件を見出した。また、ウイルスベクター接種後のノックダウン効率の最大期および持続期間を調べたところ、平均で接種2週間後から最大に達し、その後、少なくともノックダウン効果が1か月以上持続することを確かめた。 II. ノックダウン個体の表現形質解析(菌糸内のリン酸長距離輸送機構) H22-24科研費におけるトランスクリプトーム解析から同定されたAM菌の3つの水チャネル遺伝子AQP1-3の系統解析および発現解析から、AQP3が植物根細胞とAM菌の菌糸界面で発現すると予想し、その水輸送活性を酵母形質転換系により確認することができた。さらに、この遺伝子をノックダウンすると、蒸散を抑制した場合と同様に、AM菌のリン酸輸送速度も低下することが確認された。また、宿主植物として用いている野生タバコ (N. benthamiana) のトランスクリプトーム解析も行い、菌根形成により発現上昇するリン酸輸送体遺伝子を同定すると共に、AM菌バイオマスマーカーとしてのチューブリン遺伝子RcTUBαの同定も行い、これら遺伝子発現の定量系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H26年度は新規遺伝子ノックダウン法VIGSのベクター構築とノックダウン効率の最適化の達成が主な目標であったものの、本法の確立に加えて、さらにノックダウン個体の表現形質解析に進めたことは特筆すべき進展である。また、科研費・新学術領域研究「ゲノム支援」により、本研究で用いている菌株に加えてさらに2菌株の遺伝子レパートリーを取得できたことも今後の研究展開に大いに役立つと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度はAM菌水チャネル遺伝子AQP3のノックダウン個体の表現形質を多面的に解析し、リン酸長距離輸送との関わりに関する証拠固めを行うことに加え、AM菌から植物へのリン酸放出に関わると推定されるリン酸排出型輸送体RcPHO1のクローニングおよびノックダウン条件の検討に着手する。
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Causes of Carryover |
3月納品4月支払いのため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月支払い予定。
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Research Products
(5 results)