2015 Fiscal Year Annual Research Report
アルドキシムーニトリル経路の酵素類の有機合成への利用と生理学的意義の解明
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26292041
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
浅野 泰久 富山県立大学, 工学部, 教授 (00222589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 英伸 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50285160)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルドキシム脱水酵素 / ニトリルヒドラターゼ / アルドキシムーニトリル経路 / 光学活性ニトリル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.アルドキシム脱水酵素(Oxd)を有する細菌ライブラリーより、十数株のoxd遺伝子を発現する大腸菌形質転換株を作成した。それらを用いて、化学合成した3種類のアルドキシムに対する基質特異性と光学選択性を検討した。 2. Bacillus sp. OxB-1およびRhodococcus sp. YH3-3の全ゲノム解析を行った。Bacillus sp. OxB-1のゲノムは3,594,618 bpの環状DNAであることが明らかとなった。GC%は47.85%であり、遺伝子数は3587、rRNAオペロンは7、tRNAは83あると予測された。アルドキシム-ニトリル経路に関わる遺伝子はoxdおよびニトリラーゼ遺伝子(nit)が存在し、arac型転写調節因子の下流に位置していた。 一方、Rhodococcus sp. YH3-3のゲノムは7,316,908 bpであることが明らかとなった。GC%は62.15%であり、遺伝子数は7281であると予測された。ゲノムDNA上に5’端より、oxd, ami, nhaseα(Fe)、nhaseβの順でのクラスターおよび、コバルトタイプでは、ami、nhaseβ、nhaseα(Co)の順でのクラスターを形成していた。 3. 耐熱性NHase生産菌Geobacillus sp. strain 315由来のニトリルヒドラターゼ(NHase)はnhaseα(Co)、nhaseβ、activator geneから構成されたタンパク質でα6β6構造を持つことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は広範な探索研究により、オリジナルの材料および、酵素遺伝子素材の手がかりを十分に得ており、今後の展開が期待される。いずれも世界で初めての知見ばかりを得る予定である。 我々が2000年に最初に報告した新酵素であるアルドキシム脱水酵素の基質特性を、化学合成した立体化学を有する基質数種類化学合成し、検討したところ、エナンチオ面を認識して脱水反応を触媒していることを発見した。すでに本酵素を用いて光学活性なニトリルを純度高く合成できることを世界で初めて明らかにしており、本年度は数種類の合成基質に対する作用を明らかにした。さらにドイツ連邦共和国ビーレフェルト大学化学部グレーガー教授と共に、多数の合成基質に対して基質特異性を詳細に明らかにする予定である。 Bacillus sp. OxB-1およびRhodococcus sp. YH3-3の全ゲノム解析を行った。また、動植物におけるアルドキシムーニトリルの代謝酵素の存在について比較生化学的研究を継続している。 耐熱性や高アクリルアミド耐性のNHase産生菌をすでに得、大腸菌での発現にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.我々が以前に解明したRhodococcus sp. N-771のOxdや、Pseudomonas chlororaphis B23 (OxdA)の立体構造の情報からBacillus sp. OxB-1のOxdの構造をソフトウエアを用いて推定し、ドッキングシミュレーションを行うことにより、本酵素のエナンチオ選択性、基質特異性や E (2R) フェニルプロピオンアルドキシムが基質とならない点を構造の面から推定する。また、他起源のOxdについて遺伝子を収集しライブラリー化を進める。さらに他の数多くの合成基質をドイツ連邦共和国ビレフェルト大学のグレーガー教授と共に化学合成し、反応性および立体選択性を明らかにする。 2.アルドキシムーニトリル経路の生理学的意義の解明:新酵素アルドキシム合成酵素について、Bacillus sp. OxB-1やRhodococcus sp. YH3-3の全ゲノム解析を行う。動植物がアルドキシムーニトリル経路を有することを明らかにしており、酵素および遺伝子レベルでの解析および比較を行う予定である。微生物および動植物のアルドキシムーニトリル経路を代謝産物、酵素および遺伝子レベルで明らかにする。 3.耐熱性や高アクリルアミド耐性のNHase産生菌の探索とRhodococcus属細菌のNHaseとの比較:新たに土壌より分離した好熱性細菌およびRhodococcus属細菌のNHase遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させるとともに、精製酵素レベルでの熱耐性などを分子レベルで明らかにする。
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Causes of Carryover |
国内旅費、および計画していた海外旅費の多くを使用していなかった点、並びに消耗品費を節約できたことから次年度に資金を繰り越すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、国内外での会議、特に海外において学生の研究成果の発表にも旅費を使用する計画である。平成27年度において、節約できていた消耗品費についても、最終年度として研究活動を一層活発化する計画であるので、大いに利用させていただく。
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Research Products
(72 results)