2015 Fiscal Year Annual Research Report
基幹C4化合物の発酵生産プロセス開発のための基盤研究
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26292042
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
片岡 道彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90252494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物 / 応用微生物 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高機能性ポリマーの原料として利用価値の高い基幹C4化合物を、グルコース等のバイオマス資源から効率的に発酵生産するプロセスの構築を目指している。そのために設計した基幹C4化合物生合成経路を付与構築した遺伝子組換え微生物を分子育種するとともに、構造生物学的・進化分子工学的手法を用いた生合成経路内酵素群の最適化、発酵生産条件の検討、宿主菌株の改良等を進めている。 (1)基幹C4化合物生産のために設計した生合成経路の中で鍵となる反応を触媒するNADH要求型アルデヒド脱水素酵素に関して、高活性型の変異酵素を探索・創出することを目的に、前年度構築した探索系を用いて、ランダム変異処理を行ったアルデヒド脱水素酵素遺伝子についてスクリーニングを行った。また、文献情報や既存データベースから同様の活性を示す候補酵素遺伝子をクローニングし、スクリーニングを行った。その結果、高活性型の変異アルデヒド脱水素酵素活性を示すいくつかの有望株が見出され、有意な活性上昇が認められた変異酵素を得ることができた。さらに、得られた変異酵素の解析を行い、基質特異性の高い酵素の創出を試みた。 (2)基幹C4化合物生合成経路上の酵素について、大腸菌内での異種発現効率を高め酵素活性を強めるために、各酵素遺伝子の宿主菌株への導入方法に関して検討を行い、基幹C4化合物生合成経路の最適化を行った。 (3)前年度に引き続き、宿主菌として想定している大腸菌において、基幹C4化合物の生合成経路内中間生成物の分解・代謝に関与するおそれのある酵素遺伝子を単独または複数破壊した株を作成した。これに、基幹C4化合物生合成経路の導入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の研究進展の現状から判断した。(1)前年度に構築したスクリーニング系を用いて、変異酵素ライブラリー等から高活性型のアルデヒド脱水素酵素を得ることができた。(2)大腸菌内での異種遺伝子発現のさらなる効率化が進められた。(3)中間生成物の分解・代謝経路を複数選択し、それらの遺伝子について単独あるいは複数の遺伝子破壊株を取得し、基幹C4化合物生合成経路の導入も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた結果を基にして引き続き、(1)基幹C4化合物生産に適したアルデヒド脱水素酵素の創出・導入、(2)基幹C4化合物生合成酵素発現系の最適化、(3)宿主菌の代謝改変、に関してさらなる検討を進める。 (1)に関しては、さらに候補酵素遺伝子の評価・選別を行う。選別した酵素を親酵素として進化分子工学的手法やタンパク質工学的手法を用いた改良を繰り返し行い、高機能型酵素の創出へ向けた検討を進めるとともに、基幹C4化合物生合成経路への組み込みを検討する。 (2)および(3)に関しては、各酵素遺伝子の宿主菌株への導入方法やプロモーターの検討等と、基幹C4化合物中間生成の分解・代謝に関わる酵素遺伝子等の破壊を組み合わせて検討する。 さらに、(4)これまでの検討で構築した基幹C4化合物生産菌株による生産条件の最適化を図る。
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Research Products
(3 results)