2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子を標的にした革新的脂質代謝改善ペプチドの発見・革新的探索評価技術の創成
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26292067
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 昌也 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (10576755)
上野 義仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20250467)
本多 裕之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70209328)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド / ペプチドアレイ / コレステロール / 動脈硬化 / ラクトスタチン / 胆汁酸 / 胆汁酸輸送担体 / カルシウムシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
ラクトスタチンの媒介する新規肝臓コレステロール(CHOL)分解調節系や新規腸CHOL吸収調節系に関与する、ラクトスタチン受容体特定を含めた標的分子を解明することを目的に研究し、以下のような成果を得た。 (1)CYP7A1やABCA1遺伝子プロモーターの種々の変異プラスミドを用いて解析する。たとえば、転写因子LXR応答領域欠損プラスミドなどを作成し、LUC(ルシフェラーゼ)連結し、LUC分析する。その応答領域のゲルシフト分析などにより、ラクトスタチンに応答する肝臓の転写因子や転写補助因子を特定する。この点では、ラクトスタチンはカルシウムシグナルおよびERK経路を介してCYP7A1遺伝子発現を誘導し、ラクトスタチンによるCYP7A1遺伝子転写活性化はCYP7A1遺伝子プロモーターの-299~-289領域に結合するHNF-3αが関与していることを明らかにした。 (2)ラクトスタチン(IIAEK)受容体(仮説)を特定する。光親和性標識法により、ラクトスタチン受容体を単離・特定する。この点では、現在、光親和性標識したIIAEKの化学合成に成功した。これから受容体を特定するための詳細な手法を検討している。 (3)CHOL吸収抑制ペプチドであるVVFLASVSについて胆汁酸やリン脂質の親和性について検討し、疎水性相互作用と静電的相互作用による分子間相互作用が関与することを明らかにした。 (4)標的分子である胆汁酸輸送担体(ASBT)による革新的CHOL代謝改善ペプチド探索評価法(胆汁酸結合ペプチドの応用)を創成する。具体的には、胆汁酸輸送担体の全アミノ酸配列(348アミノ酸)を、10残基ずつペプチドアレイに固定し、胆汁酸結合能を評価し、胆汁酸と親和性が強いペプチドを特定する。この点では、現在数種の活性ペプチドを発見した。作用機構を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した下記のいずれの研究内容においても、研究計画の内容が研究実績の概要のように、おおむね順調に進展しているためである。 1.長岡らが発見したラクトスタチン(IIAEK)の媒介する新規肝臓コレステロール(CHOL)分解調節系や新規腸CHOL吸収調節系に関与する、ラクトスタチン受容体(仮説)の特定を含めた標的分子を解明するとともに、革新的CHOL代謝改善ペプチド発見とその探索評価技術創成を目指す。 2.長岡らが発見した新規大豆由来CHOL吸収抑制ペプチド(VAWWMY、VVFLASVSなど)の作用機構を、腸ミセル成分、CHOL吸収受容体及び胆汁酸輸送担体を標的分子として、Biacoreやペプチドアレイにより解明し、革新的CHOL代謝改善ペプチド発見とその探索評価技術創成を目指す。 3.胆汁酸輸送担体(ASBT)や線維芽細胞増殖因子(FGF)21を標的分子として、ペプチドアレイなどの新技術を活用した革新的脂質代謝改善ペプチド発見とその探索評価技術創成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね申請時の計画で遂行することで問題はない。なお、光親和性・蛍光標識ラクトスタチン(IIAEK)によるラクトスタチン受容体の特定に関する研究では、内容が極めて新規のため、実験条件が従来にない工夫を要する可能性があり、この点に関する研究体制の強化を図る方針である。たとえば、研究をより高度なレベルで遂行するため、ラクトスタチン受容体(仮説)を特定する研究内容では、GPCRの専門研究者(岐阜大学)との共同研究(科研費以外の資金)の継続または、計画中(東京大学)であり、より新規性の高い方法や考え方でアプローチできる目途ができた点は強調すべき点と考える。
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