2015 Fiscal Year Annual Research Report
秋植物のゲノミクスで迫る日本の草地の興亡史―林業復活の優先地域の特定―
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26292074
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
山浦 悠一 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (20580947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井鷺 裕司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50325130)
青木 京子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (70378537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 林業 / 草地 / ゲノミクス / 草本植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目である今年度は、初年度に収集した、阿蘇の遺伝子サンプルの解析を行なった。サンプリングを行なった種から、カワラナデシコ、アキノキリンソウ、オミナエシ、センブリの4種を選び、RAD-seqによりそれぞれ2997~6466座の一塩基多型(SNP)を得た。このうちホモログの疑いが低く集団内の多くの個体で観察された座が417~1021座存在した。このうち120座をランダムに選出し、それぞれの座で作成した系統樹に基づくデモグラフィ推定を行なったところ、最長過去4万年の有効集団サイズの推移を推定することが出来た。 この結果、種によって増減の傾向が異なったものの、過去数万年間にわたり、これらの種の個体群が長期間にわたって維持されてきたことが示された。センブリに関しては最近1万年間の減少傾向が示され、アキノキリンソウは逆に明確な増加傾向を示した。 現在、花粉分析などの研究の蓄積が豊富で、過去の植生の変遷が明らかになっている曽爾高原のサンプリングの解析を進めている。植物個体群の動態の解析結果と既往の知見を比較し、解析で全国展開する対象種などを決定する予定である。 また、現地の植物専門家と連絡を取り、調査対象である8種類の草本植物(キキョウ、ツリガネニンジン、オミナエシ、ワレモコウ、センブリ、リンドウ、カワラナデシコ、アキノキリンソウ)の分布情報を整理した。この情報をもとに、最終年度である来年度の追加サンプリングを行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阿蘇の遺伝子サンプルの解析を行ない、過去の個体群動態を複数種で推定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
追加のサンプルの収集を行ない、欠けている種・地域のサンプルを補完する。遺伝子解析を進め、遺伝子解析手法及び解析対象種を特定する。全国的な遺伝子解析を実施し、草地性植物の過去の個体群動態、そしてその地域差の有無を検証する。
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Causes of Carryover |
DNAの抽出・分析・事後解析に時間がかかり、年度内に支出が間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析作業は進捗しているため、今年度未使用分も含めて、次年度は計画通りに予算を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)