2014 Fiscal Year Annual Research Report
標高傾度にそった植生分布と生態系機能に対する温暖化の影響評価
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26292081
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 耕一 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (80324226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 宏之 独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 研究員 (10342734)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高木限界 / 炭素循環 / 温暖化 / オオシラビソ / シラビソ / ダケカンバ / ハイマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は,中部山岳において,(1)温暖化の標高傾度にそった生態系機能(とくに炭素循環)への影響,そして(2)標高傾度にそった植生移行帯が温暖化によって現在よりも高い標高へ移動するのかを解明することである.今年度は,以下の個別研究を行なった. ①標高傾度にそった種間競争の変化:分布上限では競争力は低下するのか?,②シラビソ・オオシラビソの植生移行帯の形成機構,③高木限界の形成機構,④高木限界と森林限界の形成に対する積雪の影響,⑤標高傾度にそった生態系機能(炭素循環)について,⑥温暖化による森林の成長量の標高傾度にそった比較.H26年度の実績としては,①と②に関しては,標高1600,2000,2300 mの7年間の再測定データを用いて,解析を行なった.しかし,死亡個体や新規加入個体が少なく,それらについては十分に解析できなかった.③については,高木限界付近のオオシラビソとダケカンバの個体レベルの成長特性について野外調査を行い,データ解析中である.④に関しては,北アルプスの南部から北部まで7山岳(乗鞍岳,笠ヶ岳,薬師岳,鹿島槍ヶ岳,蝶ヶ岳,双六岳,燕岳)において,高木限界付近での野外調査を行なった.⑤に関しては,乗鞍岳の5標高に設置してある永久調査区において,リター量の測定を行なった.⑥に関しては,乗鞍岳の新旧(1974年と2010年)の空中写真を用いて,36年間の植生変化について解析を行なっている.個別研究①~⑥まで,全体的には概ね計画どおりに研究は進んでいると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の個別研究①~⑥に関して,「研究実績の概要」に記載したとおり,野外調査やデータ解析を進めており,全体的には概ね計画どおりに研究は進んでいると考えている. ①標高傾度にそった種間競争の変化:分布上限では競争力は低下するのか?,②シラビソ・オオシラビソの植生移行帯の形成機構,③高木限界の形成機構,④高木限界と森林限界の形成に対する積雪の影響,⑤標高傾度にそった生態系機能(炭素循環)について,⑥温暖化による森林の成長量の標高傾度にそった比較.
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Strategy for Future Research Activity |
個別研究①と②に関しては,解析的な問題が生じている.研究実績の概要でも述べたとおり,7年間での新規加入個体と死亡個体が少なすぎたため,新規加入率と死亡率を種ごとに解析ができなかった.また,成長率に関しても分布下限のオオシラビソと分布上限のシラビソの個体数が少なく,信頼性に欠けた.そのため,今後,調査区の再測定を行うことで,さらなる長期観察データを得る予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,光合成測定器で使用する針葉樹用のチャンバー(約140万円)を購入する予定でいた.しかし,平成26年度には他の研究で手一杯であり,光合成に関する研究が難しかったため,次年度以降に行うことにした.そのため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
針葉樹用の光合成チャンバーを購入するため,物品費として,次年度使用額とH27年度分を合わせて使用する.
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Research Products
(8 results)