2014 Fiscal Year Annual Research Report
表面にナノスケールフィブリルを有したWPC用木質フィラーの機能開発
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26292094
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 滋彦 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40115449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 陽一 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80377796)
小堀 光 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20612881)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 木質科学 / 木質材料 / 混練型WPC / セルロースナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
マット成形タイプの木質ボード類では構成エレメントが小径化するにつれて、絡み合い効果が発現するものとされている。ナノファイバーの有する結合力による補強効果はパーティクルやファイバーのそれを遥かに凌ぐものであり、この補強効果を木質材料開発に利用することが本研究の目的である。本研究では木粉を対象として表面にナノサイズ(ナノオーダー)のフィブリルを形成させることで、従来のフィラー充填プラスチックでは実現できなかった高い補強効果を有する木質バイオマスフィラーを作成することを短期目標としている。本年度は研究の第1段階として多段階粉砕を用いて木粉を粉砕することでフィブリルを有した木粉を得ることを目指した。木粉としてトウヒを使用した。粗粉砕した後、ディスクミルにて粉砕した。粉砕はクリアランス500μmと180μmの2段階で行い、最終的には目開き180μmのふるいを通過したものをトウヒフィブリル化木粉とした。比較材料として粒径150μm程度の市販トウヒ木粉を用意した。評価はふるい分けによる分級、粒度分布測定および電子顕微鏡による表面観察によって行った。ふるい分けによる分級ではディスクミルによる多段階粉砕によって1000μmを超えるような大きな木粉はほとんど無くなることが確認できた。また、90μm以下の微小な木粉の割合が顕著に増加した。また多段階粉砕後に180μmのふるいを通過したフィブリル化木粉の収率は40%以上であった。フィブリル化木粉と市販木粉のかさ比重を比較するとフィブリル化木粉のほうがかさ高くなった。これはフィブリル化木粉のほうが粒度が細かく、さらにフィブリル化したことで木粉間に多くの隙間が生じたため、かさ高くなったものと思われる。電子顕微鏡による表面観察からは、フィブリル化木粉では表面に多数のフィブリルが形成されており、また、高アスペクト比の木粉が多数見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、表面にフィブリル構造を有する木粉を作成することであり、トウヒ木粉を使用して、このことを確認できた。日本のスギやヒノキ由来の間伐材からも同様のフィブリル化木粉が作成できることを確認すべきであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずトウヒ以外の木粉からフィブリル化木粉が作成できるかどうかを確認する。その後、フィブリルの評価方法をいくつか検討する。具体的には、粘度計によるフィブリルの形状、特に長さの評価を行うことや比表面積測定によるフィブリル状況の確認を行う予定である。その後、プラスチックと混合して成形体を作成し、フィブリルの有無による複合材料の各種性能への影響を検討する。またフィブリル化木粉の混合割合による影響も検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品として使用する予定であったが、予定よりも少量で実験が完了してしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費として使用する予定である。
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