2014 Fiscal Year Annual Research Report
新奇レクチン機能の分子機構解析と魚類抗病性への展開
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26292111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村本 光二 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90157800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沼 孝子 東北生活文化大学, 短期大学部, 講師 (50250733)
小川 智久 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (80240901)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レクチン / 腸管輸送 / ゼブラフィッシュ / タイトジャンクション |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュ未受精卵からラムノースに結合特異性をもつ複数のレクチン(RBL)を単離し,生化学的性状を調べた。ゼブラフィッシュに植物性レクチンを添加した餌料を投与後,腸管輸送機能の変化を輸送経路既知の蛍光マーカーを使って解析した。培養細胞単層膜を腸管モデルとして用い,シロサケ卵由来RBL投与による経上皮電気抵抗値と蛍光マーカーの透過性変化から,RBLがタイトジャンクション(TJ)を開放することを明らかにした。またTJ構成タンパク質に対する抗体を用いた蛍光免疫染色によりレクチンによるタンパク質発現に影響がないことを明らかにした。これらの結果により,RBLが細胞表面の特異糖鎖に結合し,細胞内のカルシウムイオン濃度を増加させ,細胞骨格アクチンの脱重合を引き起こすことでTJを可逆的に開放する分子機構を明らかになった。ゼブラフィッシュ成体へのレクチン投与が成体に及ぼす影響を正確に評価するために,個体毎の新規の摂餌量測定法を開発し,摂餌誘因物質の活性評価に応用してその実用性を確認した。レクチン処理による腸管上皮のタンパク質発現パターンをプロテオーム解析した。抗酸化剤・免疫賦活剤としてアスタキサンチンとβ-グルカンをそれぞれ加え,ゼブラフィッシュにおける抗酸化剤と免疫賦活剤の生体内の評価を行った。また併せて,ゼブラフィッシュ胚膜における蛍光マーカーの透過輸送を蛍光HPLCで調べ,複数の輸送系の存在を明らかにした。今後,これらの輸送系に対するレクチンの影響を詳細に検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Caco-2細胞単層膜における輸送機構に対するレクチンの作用とその分子機構を明らかにすることができた。この研究成果は論文にまとめ,現在,投稿中である。また,ゼブラフィッシュに投与して,その抗酸化活性を確認したヒスチジン含有ペプチド,およびその関連ペプチドライブラリーの構造活性相関を詳細に検討した結果をまとめた論文を投稿した。これらの成果を基に,レクチンの新規機能性の解析をさらに進める見通しを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼブラフィッシュ卵に含まれるマルチプルレクチンを分取型ゲル電気泳動によって調製できたので,これらのラムノース特異的レクチンに対する特異抗体を作成し,局在と発現調節の解析するとともに,レクチンを胚にマイクロインジェクションすることによってレクチンの生体機能性を明らかにする計画である。その他の研究については,当初の計画に沿って進める予定である。
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