2015 Fiscal Year Annual Research Report
新奇レクチン機能の分子機構解析と魚類抗病性への展開
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26292111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村本 光二 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90157800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沼 孝子 東北生活文化大学短期大学部, 生活文化学科, 講師 (50250733)
小川 智久 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (80240901)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レクチン / ゼブラフィッシュ / 抗酸化ペプチド / ラムノース |
Outline of Annual Research Achievements |
モデル動物であるゼブラフィッシュを用い,生体内でのHis含有ペプチドの抗酸化作用機構を調べ,また,生成する活性酸素種が異なる酸化ストレス発生剤を用いてゼブラフィッシュ胚を処理し,胚の発生段階毎の酸化ストレス応答の変化を調べた。受精後9時間(9 hpf)の胚において,酸化ストレス発生剤(AAPH)による酸化ストレス応答が最も大きかった。また,カルシウムイオン量も,酸化ストレス発生剤による活性酸素種(ROS)量の増加と共に増加したが,7 hpf以降では,ROS生成に伴うカルシウムイオン量の増加はみられなかった。グルタチオンとカルノシンは共に,1 mMでは酸化ストレス発生剤によるROSの消去活性は小さく,5 mM以上においてROS消去活性を示した。一方,カルシウムイオン量はペプチドが1 mMでも減少した。このことは,カルシウムイオン流入がペプチドの添加により起きることを示している。抗酸化ペプチドの抗酸化活性やレクチンの腸管輸送・吸収機構に対する影響を生体毎に評価するために,ゼブラフィッシュ個体毎の摂餌量の測定法を確立した。その方法を摂餌誘引物質の評価に応用し,小型魚類個体毎の摂餌量の測定が可能であることを示した。また,哺乳動物の腸管モデルにおいて輸送経路が知られている蛍光マーカーを用いて,ゼブラフィッシュ胚膜には複数の選択的透過輸送経路が存在していることを示した。 さらに,ゼブラフィッシュ未受精卵に含まれるラムノース結合特異性レクチン(RBL)のサブユニット構造を解析するとともに,RBLサブユニットに対する特異抗体を作成し,それらの抗体を使って組織免疫染色を行い,様々な成長段階におけるゼブラフィッシュにおけるRRLの体内分布を明らかにした。その結果から,RRLは受精直後の形態形成が不完全な期間に病原菌などに対する生体防御機能に働くと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュの胚を必要量,安定的に確保できるようになり,抗酸化ストレスや胚膜の輸送透過の実験を計画通りに進めることができている。また,ゼブラフィッシュ未受精卵から調製用電気泳動装置で単離したレクチン・サブユニットに対する特異抗体の作成に成功し,組織免疫染色を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
従前の計画にそって研究を進める予定であるが,ゼブラフィッシュ胚を使用したペプチドとオリゴ糖の抗酸化ストレス活性と免疫賦活活性を,蛍光・化学発光同時測定装置でさらに調べ,抗病性の検討を行う方針であり,測定結果については連携研究者と討議しながら考察する。また,ゼブラフィッシュ未受精卵には新奇レクチンが複数存在することが明らかになったので,すべてのレクチンを単離して,それらの生化学的性状と生物機能の解析を進める予定である。
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