2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26292128
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤江 剛夫 岡山大学, その他の研究科, 教授 (10123423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 秀則 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (60239663)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水資源 / 乾燥地 / 砂丘 / 地下水 / 蒸発 / 灌漑 / 水収支 / 水循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、以下の目標のもと、研究を進めた。 (1)内蒙古河套灌区を対象に、砂丘とその周辺地域の水循環構造を明らかにし、砂丘の地下水涵養機能を定量的に評価する。 (2)砂丘における蒸発抑制機構を明らかにする。 (3)砂丘地・湖の空間的分布の特徴と地形的特徴を把握する。 (4)衛星画像を利用した地域蒸発量計算モデルを適用し、水収支から水資源涵養量を評価し、水資源涵養量で地域を分級してマッピングする。 上記(1)の目標を達成するために、河套灌区西部、抗錦后旗に2カ所の試験地砂丘を設定し、砂丘中腹、砂丘下部、砂丘隣接塩害地で地下水位、土壌水分量、地温を連続観測し、地下水の動態の把握を試みた。比産出率を用いて地下水位変化から地下水涵養量を求めたところ、対象砂丘は年間470mmの地下水涵養量をもつものと推定された。(2)に関しては、温度水分拡散係数をカラム実験で測定し、地温度勾配による水分フラックスを求めたところ、砂丘地では下向きフラックスが生じ、蒸発を抑制していることが分かった。(3)について、1990、2000、2014年の衛星画像を用い、①土地利用の経年変化、②土地利用の形成要因、③土地利用を変化させた要因を分析した。その結果、塩害草地が減少し、農地が面積が増大していること、湖水は農地と比べ標高差が低い窪地に形成され、塩害地は用水路からの距離の大きい位置に形成されること、農地から塩害地・塩害草地への変化は傾斜、曲率、排水路からの距離が大きい所で生じることが分かった。(4)に関しては、水収支(=地下水涵養量)=降水量+用水量-(排水量+蒸発量)を説明変数として農地から土地利用変化をロジット回帰分析したところ、地下水涵養量の少ない農地で、塩害裸地、塩害草地への変化が生じることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)新たな調査対象砂丘を1カ所加えて、砂丘地における地下水位観測を拡大して行っているが、沙壕渠試験場の協力を得て順調にデータが蓄積できている。また、砂丘地の地温勾配が蒸発抑制機構として働いている事実も確認できた。ただし2014年度に砂丘地に設置した土壌水分計が故障し、データが取得できない問題が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成26年度、27年度に設置した2つの砂丘において、それぞれ砂丘斜面、砂丘下端、周辺塩害地の3点で地下水位観測を継続する。加えて内蒙古農業大学の協力を得て砂丘地下水位の既往データの収集に努める。これらのデータから砂丘地下水の移動方向の傾向を推定する。 (2)灌漑期間中の降水量データを収集し、蒸発量推定モデルから推定した蒸発量、取水量・排水量を水収支式に組み込んで、それぞれの砂丘の地下水涵養水量を評価する。 (3)砂丘地およびその周辺地から採集した土壌を用いて、温度勾配下の水移動実験を行い、沙丘地の蒸発抑制機構の特徴を明らかにする。 (4)平成26年度に得た気象観測データ、地温データおよび衛星画像データを用いて、ピクセルごとに蒸発量を推定し、涵養・消費水量を地域全体でマッピングする。 (5)平成27年度に得られたデータを整理、検討し、成果を学会で発表する。
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Research Products
(5 results)