2015 Fiscal Year Annual Research Report
農地水利用と洪水のシームレス一体型解析モデルの開発
Project/Area Number |
26292129
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
増本 隆夫 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門地域資源工学研究領域, 領域長 (80165729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 裕樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門地域資源工学研究領域, 研究員 (70527019)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 極端現象 / 洪水防止機能 / 順応型流域管理 / 流域灌漑方策 / シームレス解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究全体の手順1)~6)、すなわち1) 3つの対象地域を選定:(A)日本国内の流域(灌漑開発が進んだ流域);(B) チャオプラヤ川流域(巨大灌漑ダム・灌漑地区を有する流域);(C) メコン河流域トンレサップ湖周辺流域(水文気象データが極端に不足している流域)、2) 氾濫を含む数年間~10年間の解析期間の設定と関連データの収集、3) トンレサップ湖畔水文気象観測塔の機器更新と収集データの解析、4) 農工研圃場内での実験施設による水稲減収割合の計測と氾濫被害曲線の算定、5) 分布型モデルからのアプローチ(分布型水循環モデル(DWCM-AgWU)の適用と氾濫水の扱い方法の検討)、6) 氾濫モデルからのアプローチ(低平地タンクモデルの改良とそのアルゴリズム化)に加えて、次項のアプローチを加えた。 まず、7) 分布型モデルからのアプローチと氾濫モデルからのアプローチを統合して、シームレス一体型解析モデルを作成するために、まずその考え方について方針を決定した。さらに、26年度収集したデータに基づいて、5)を核としたA~C地域での解析を、2)~3)のデータを用いて推進した。同時に、5)を4)で得られる基礎データを利用しながら順次進めた。特に、基礎データとして、平成26年度に購入した「トンレサップ湖畔水文気象観測装置」の搬送、設置を行い、データの自動観測システムを確立した。 また、6)を順次進めながら、7)のシームレス一体型解析モデルのプロトタイプを作成して、チャオプラヤ川流域の2011年氾濫に適用し、その適合性を検討した。一方、2)~3)の観測は継続しながら、気候変動実験における各種GCMによる実験結果についても入手を行い、各実験結果を1~5kmまでダウンスケールされたデータとして利用した。これらのデータに関しては、これまで開発してきた独自のバイアス補正法により、実際の利用のためのデータ補正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H27年度の予定であったシームレス一体型解析モデルのアルゴリズムの検討とそのプロトタイプの作成1年目で達成でき、それを引き継いでチャオプヤラ川の2011年氾濫への適用にまで2年目(H27年度)で進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究遂行の手順1)~7)、すなわち1) 3つの対象地域を選定:(A)日本国内の流域(灌漑開発が進んだ流域);(B) チャオプラヤ川流域(巨大灌漑ダム・灌漑地区を有する流域);(C) メコン河流域トンレサップ湖周辺流域(データが極端に不足している流域)、2) 氾濫を含む数年間~10年間の解析期間の設定と関連データの収集、ならびに現地観測の実施、3) トンレサップ湖畔水文気象観測塔の機器更新と収集データの解析、4) 農工研圃場内での実験施設による水稲減収割合の計測と氾濫被害曲線の算定、5) 分布型モデルからのアプローチ(分布型水循環モデル(DWCM-AgWU)の適用と氾濫水の扱い方法の検討)、6) 氾濫モデルからのアプローチ(低平地タンクモデルの改良と計算単位時間の切り替え等の検討とアルゴリズム化)、 7) 分布型モデルからのアプローチと氾濫モデルからのアプローチを統合して、シームレス一体型解析モデルを作成するために、その考え方について方針を決定するを引き続き継続する。 また、最終年の28年度には、26~27年度に収集した2)~4)のデータに基づいて、A~C地域での解析を、5)ならびに6)のアプローチから順次進めながら、それぞれの成果の纏めを行うとともに、7)のシームレス一体型解析モデルを完成させ、対象流域における氾濫解析ならびに長期解析を終了する。同時に、開発したモデルを利用して、気候変動対応策としての農地主体流域における水田や農業用施設を利用した氾濫等に対する流域管理方策、特に都市近郊水田域の持つ洪水防止機能の積極的利用方策を検討する。また、データが極端に少ない流域(例えば、メコン河流域内のトンレサップ湖周辺流域等)において、「流域灌漑方策」を提案し、各種データの模擬発生を行い、疑似観測データとし利用するなどの対応策を検討する。
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Causes of Carryover |
初年度に発生し、当初計画より安価に購入できたトンレサップ湖水文気象総合観測装置の購入残高を意図的に最終年の使用額として温存したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地観測の委託費補填分として利用する計画である。
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