2015 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛発現の分子基盤としての侵害受容チャネルの関与とその制御機構の解明
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26292150
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
太田 利男 鳥取大学, 農学部, 教授 (20176895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢次 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00400143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで硫化水素が知覚神経に発現している侵害受容体を活性化させることを明らかにしている。硫化水素の酸化により生成されるサルフェン硫黄としてポリスルファイド(PS)がある。そこで本年度は侵害受容チャネルの一つであるTRPA1に対するPSの作用を検討した。マウス知覚神経細胞、TRPA1を恒常的に発現しているRIN-14B細胞及び遺伝子導入した細胞を用い、Caイメージングと電流測定を行った。またマウス個体を用いて、PS投与による疼痛行動の有無を計測した。その結果、PSはマウス知覚神経において、細胞内Ca濃度を増加させた。PSの作用は硫化水素に比べて非常に低濃度から生じた。パッチクランプ法によりPSはTRPA1チャネル電流を引き起こした。PSによる反応はTRPA1阻害剤により抑制され、TRPA1欠損マウスでは反応を起こさなかった。RIN-14B細胞においても同様な反応を引き起こした。硫化水素非感受性の変異TRPA1を発現させた細胞では、PSに対する反応性も消失していた。PSは野生型マウスに疼痛行動を引き起こし、この反応はTRPA1欠損マウスでは有意に減弱していた。以上の成績より、PSは知覚神経細胞に対してTRPA1チャネルを活性化する発痛物質として作用することが示された。また、PSはTRPA1に対し硫化水素より高い力価を示したことから、内因性リガンドとして機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内で産生される内因性物質により侵害受容チャネルの一種であるTRPA1に対する作用とそのメカニズムを細胞・分子レベルで明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
侵害受容チャネルへ作用する新規分子の探索と疼痛治療への応用へと研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
安価な備品の購入が可能になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のプラスミド合成と試薬合成に充填する。
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