2015 Fiscal Year Annual Research Report
犬の難治性がんにおけるがん幹細胞の特性解析とがん幹細胞標的治療法の基盤構築
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26292161
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
道下 正貴 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (50434147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 和彦 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (30550488)
盆子原 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50343611)
石渡 俊行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, その他 (90203041)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん / がん幹細胞 / 犬 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、抗がん剤や放射線に低感受性を示す、がん幹細胞を標的とした新規治療戦略の開発が取り組まれている。本研究は、極めて病態進行が早く、効果的な治療法がない犬の難治性がん(炎症性乳癌、メラノーマ、横紋筋肉腫など)を対象とし、獣医療における難治性がんのがん幹細胞標的療法の基盤を構築することを目的とし、がん幹細胞の特性解析を実施した。 犬の炎症性乳癌では、in vitroスクリーニングで抽出した候補阻害剤compound Aの抗腫瘍効果を検討した。犬の乳癌幹細胞移植モデルマウスを作出し、compound A単独投与群、抗がん剤カルボプラチン投与群、compound Aおよびカルボプラチン併用投与群、対照群に分け、抗腫瘍効果を検討した結果、compound A単独投与群および併用投与群において他の群よりも腫瘍抑制効果が認められた。現在、抗腫瘍効果のメカニズムの解析を進めている。 犬の口腔内メラノーマでは、メラノーマ株化細胞6株を対象に、sphere assay、幹細胞マーカーによる細胞表面抗原解析、aldefluor assayを実施し、犬のメラノーマ幹細胞の存在を明らかにした。現在、がん幹細胞集団が濃縮されているsphere形成細胞を用いて、in vitroおよびin vivoにおける間葉系細胞への分化能を検討し、がん幹細胞の分化誘導療法の開発に向けて取り組んでいる。 犬の横紋筋肉腫では、株化細胞2株を対象に、犬の炎症性乳癌のin vitroスクリーニングで抽出された数種の候補阻害剤を用いてsphere形成細胞における薬剤感受性試験を行った。その結果、炎症性乳癌と同様に、横紋筋肉腫においてもがん幹細胞の自己複製能を阻害することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果は概ね順調である。 in vitro スクリーニングで得られた候補阻害剤を用いて乳癌幹細胞移植モデルマウスを用いてin vivoスクリーニングが実施でき、候補阻害剤の抗腫瘍効果を検討することができた。in vitroスクリーニングで得られた候補阻害剤を用いて、炎症性乳癌だけでなく、横紋筋肉腫におけるがん幹細胞の薬剤感受性も評価でき、癌幹細胞の自己複製能を標的とした阻害剤を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り実施する予定である。炎症性乳癌におけるin vitroスクリーニングにより候補阻害剤は数多く得られており、残りの阻害剤についても継続して抗腫瘍効果を検討する。また、抗腫瘍効果のメカニズムも詳細な解析を通じて明らかにする予定である。さらに、癌幹細胞の自己複製能を標的した治療法開発だけでなく、癌幹細胞の分化誘導に向けた治療法開発にも取り組む。
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Causes of Carryover |
乳癌モデルマウスに形成された腫瘍組織中に含まれる癌幹細胞の割合を免疫組織化学染色により評価する予定であったが、これまで市販されていた抗体が販売中止になり、抗体の選定に時間を有したため、次年度に繰り越しした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
犬のがん組織に交差反応する癌幹細胞マーカーを選定し、免疫組織化学染色により、移植モデルマウスに形成された腫瘍組織中に含まれる癌幹細胞集団の割合を明らかにし、候補阻害剤の抗癌幹細胞効果を評価する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Tumor suppressor REIC/DKK-3 and co-chaperone SGTA: Their interaction and roles in the androgen sensitivity.2016
Author(s)
Ochiai K, Morimatsu M, Kato Y, Ishiguro-Oonuma T, Udagawa C, Rungsuriyawiboon O, Azakami D, Michishita M, Ariyoshi Y, Ueki H, Nasu Y, Kumon H, Watanabe M, Omi T.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 19
Pages: 3283-3296
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Phenotypic screening of a library of compounds against metastatic and non-metastatic clones of a canine mammary gland tumour cell line2015
Author(s)
Saeki K, Watanabe M, Michishita M, Tsuboi M, Sugano S, Yoshitake R, Murai K, Tanaka Y, Ong SM, Saito T, Matsumoto K, Fujita N, Nishimura R, Nakagawa T.
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Journal Title
The Veterinary Journal
Volume: 205
Pages: 288-296
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular cloning of canine co-chaperone small glutamine-rich tetratricopeptide repeat-containing protein α (SGTA) and investigation of its ability to suppress androgen receptor signalling in androgen-independent prostate cancer2015
Author(s)
Kato Y, Ochiai K, Michishita M, Azakami D, Nakahira R, Morimatsu M, Ishiguro-Oonuma T, Yoshikawa Y, Kobayashi M, Bonkobara M, Kobayashi M, Takahashi K, Watanabe M, Omi T.
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Journal Title
The Veterinary Journal
Volume: 206
Pages: 143-148
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 犬の唾液腺腫瘤2016
Author(s)
道下正貴
Organizer
第3回日本獣医病理学専門家協会学術集会
Place of Presentation
三鷹市公会堂(東京都三鷹市)
Year and Date
2016-03-29 – 2016-03-30
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