2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26292162
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
澤井 健 岩手大学, 農学部, 教授 (90390864)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 教授 (40337994)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 胚 / 組織分化 / 遺伝子発現 / 体細胞クローン / 家畜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウシ胚の組織分化を制御する因子の同定とその機構解明を明らかにすることを目的としている。平成26年度の研究として、まず、ウシ胚の発生および組織分化機構におけるCDX2の役割を明らかにすることを目的に、ウシ初期胚においてRNA干渉法を用いたCDX2発現抑制を行い、それが胚発生および組織分化関連遺伝子発現におよぼす影響について検討した。 ウシ1細胞期胚の細胞質内にCDX2発現抑制用のsiRNAの注入を行った。siRNA注入によるウシ胚におけるCDX2発現抑制は、桑実期までの発生に影響をおよぼさなかったものの、CDX2発現抑制胚では胚盤胞期への発生遅延が認められた。また、CDX2発現抑制によって、TE分化関連遺伝子であるGATA3遺伝子発現が減少するとともに、ICM分化関連遺伝子であるNANNOGの遺伝子発現が上昇した。これらの結果から、ウシ胚において、CDX2はTE分化関連遺伝およびICM分化関連遺伝子の発現を制御することでTE分化を制御していることが示唆された。しかし、CDX2発現抑制胚においては、胚盤胞期への発生遅延は認められたものの最終的に対照区と同程度の胚盤胞期への発生率を示した。このことは、CDX2発現が抑制された状態においてもTE形成が起こることを示しており、ウシ胚においてCDX2はTE分化の必須因子ではないことを示唆するものである。 また平成26年度は、もう1つの候補因子であるTEAD4に関しても上記と同様の方法で実験を実施し、現在データを解析中である。また平成26年度は次年度以降の研究に用いる伸長期胚の採取を行い、網羅的遺伝子発現解析用にRNA抽出を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ウシ初期胚の初期発生およびTE分化を制御する因子としてCDX2に着目し、本因子の胚発生およびTE分化への影響を明らかにすることができた。またTEAD4に関する研究も順調に遂行しており、現在結果を取りまとめている。さらに次年度に用いる解析用サンプルも順調に採取することができた。以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、まず次年度においてはTEAD4に関する実験結果をとりまとめ、平成26年度に実施したCDX2に関する研究結果とあわせてウシ初期胚のTE分化を制御する分子基盤について明らかにする。また、伸長期胚を対象として網羅的遺伝子発現解析により胚盤胞期以降のICM/TE系列の組織分化制御機構を明らかにしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
計画では、初年度から網羅的な遺伝子発現解析を行う予定でありDNAマイクロアレイの購入費を見込んでいたが、網羅的遺伝子発現解析は次年度以降に実施することとなったため。また、次年度以降に蛍光免疫染色やCHIPアッセイ用の特異的抗体をまとまって購入する必要があり抗体購入費を確保する必要があるため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記したように、次年度以降の網羅的遺伝子発現解析用のマイクロアレイおよび各種アッセイ用の特異的抗体の購入に充てる。また次年度以降の伸長期胚採取のためのウシ成体の確保および過剰排卵処理用のホルモン剤等の購入費にも一部を充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)