2015 Fiscal Year Annual Research Report
犬の気質に関する行動遺伝学的研究;攻撃性の細分類と遺伝的背景の解明
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26292163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 ゆかり 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10240730)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行動学 / 気質 / 攻撃性 / SNP / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は実施計画に基づいて研究を実施し,以下の成果を得た。 1)サンプリング選抜と一次ゲノムワイド関連解析:サンプリングを6月に終了し,チワワ372頭,トイプードル537頭の血液およびアンケートの回答を得た。その後血液サンプルはDNAを抽出して保存し,アンケート結果より今回のゲノムワイド関連解析は,トイプードルにおける「所有性の攻撃」に対象を絞ることとした。その後,回収したサンプルの血縁関係を調べるためにマイクロサテライト解析を行い,血縁関係が少ないと推定されるサンプルを選抜し,ゲノムワイドSNPアレイ受託解析を業者に依頼した。平成27年年1月中旬に解析結果が納品され,現在データ解析を進めているところである。 2)候補遺伝子解析:昨年度にみつかったGABRR2(GABA A受容体ρサブタイプ2受容体)遺伝子上の多型のうち連鎖不平衡を考慮した上で,先行研究において収集したシバイヌのサンプルについて6多型と「刺激反応性(視覚の反応性)」の関係について解析したところ,エクソン6上に存在するrs22179147と「刺激反応性」に有意な関連が認められた。続いて,本結果の再現性を確認するため,刺激反応性スコアの構成内容を検討した上で,シバイヌの新規集団におけるrs22179147と「刺激反応性」の関係について解析したところ,有意な関連が認められた。加えて,トイ・プードルとチワワでも同様な解析を試みたところ,シバイヌを含む3犬種におけるrs22179147の遺伝子型分布は有意に異なり,2犬種についてはrs22179147と「刺激反応性」に関連は認められなかった。これらの結果より,シバイヌにおいてはrs22179147と「刺激反応性」が有意に関連すること,また本多型は犬種間の「刺激反応性」の差に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に研究計画通りに実施されている。サンプル数としては,チワワについて目標としていた500に到達できなかったが,今後のGWAS解析について問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では特に問題は生じていないため,基本的に研究計画通りに実施する予定である。なお,平成27年度の一次GWASの解析が不十分であるため,28年度の二次GWASの代わりに対象とする攻撃性を変更して「他人に対する攻撃性」について一次GWASを行うこととする。
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Causes of Carryover |
次年度に行うGWASに可能な限り費用をまわすために,物品費を極力切り詰めることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画通りGWAS(96サンプル)を行い,残った場合にはGWAS後の標的遺伝子解析に使用する予定である。
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