2016 Fiscal Year Annual Research Report
犬の気質に関する行動遺伝学的研究;攻撃性の細分類と遺伝的背景の解明
Project/Area Number |
26292163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 ゆかり 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10240730)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行動学 / 気質 / 攻撃性 / SNP / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は実施計画に基づいて研究を実施し,以下の成果を得た。 1)一次ゲノムワイド関連解析(平成27年度「トイプードルにおける所有性の攻撃性」):データの品質解析を実施したところ,本サンプルセットでは,統計力が足りないことが明らかとなった。一応,関連解析まで実施し,最も強い関連は6番染色体上のSNPに認められたが,カイ二乗検定におけるP値は3.88×10-5であった。 2)一次ゲノムワイド関連解析(平成28年度「チワワにおける他人に対する攻撃性」):データの品質管理を行ったところ,本サンプルセットは問題なく使用できることが明らかとなり,最も強い関連は28番染色体上のSNPに認められ,そのP値は1.04×10-5であった。 3)候補遺伝子解析:「他人に対する攻撃性」について,本年度実施計画に示したSNPも含め,8つの候補遺伝子SNPの追試および犬種横断的解析を実施したが,いずれも同一犬種での追試験もしくは犬種横断的に有意となる結果は得られなかった。 3)表現型解析:遺伝的背景を解明していく際に重要となる,攻撃行動の実態把握を目的としてアンケート回答の詳細な解析を行った。チワワ206個体とトイプードル339個体)のデータと,先行大規模調査よりデータを抽出したもの(チワワ483個体,トイプードル609個体)について解析したところ,対象が家族の場合には,攻撃性に犬種差は認められなかったが,対象が家族以外の子供と馴染みのない大人の場合には,トイプードルに比べてチワワの攻撃性が有意に高いことが明らかとなった。また,因子分析の結果,チワワとトイプードルにほぼ共通した気質因子と状況別攻撃行動因子が抽出された。多くの気質因子ポイントについては両調査に共通した犬種差が認められたが,状況別攻撃行動因子に関しては,縄張り防御因子に犬種差があったものの,他の因子については認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に研究計画通りに実施されている。平成27年度の一次GWAS「トイプードルにおける所有性の攻撃性」のデータ品質解析の結果,本サンプルセットでは統計力が足りないことが示唆されたことから,この表現型の追試は実施しないこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の一次GWAS「チワワにおける他人に対する攻撃性」については,データ品質に問題はなかったため,来年度は他の研究費を投入して二次GWASを実施することとする。
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Causes of Carryover |
平成27年度の一次GWAS「トイプードルにおける所有性の攻撃性」のデータ品質解析の結果,本サンプルセットでは統計力が足りないことが示唆されたことから,この表現型の追実験は実施しないこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の一次GWAS「チワワにおける他人に対する攻撃性」の結果は良好であったため,二次GWASに進むこととした。その解析費用の一部として使用する。
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