2014 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類減数分裂における染色体高次構造の制御メカニズム
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26292169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
李 智博 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50372660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 厚志 独立行政法人情報通信研究機構, その他部局等, 主任研究員 (20585723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 減数分裂 / コヒーシン / コンデンシン / 染色体 / 卵母細胞 / 精母細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,染色体の高次構造の制御に関わるコヒーシンやコンデンシン,シナプトネマ複合体関連タンパク質などの解析を通して,減数分裂における相同染色体の対合・組換えの分子機構を解明することを目的とする。また,減数分裂やその後の胚発生の過程において,染色体の高次構造の制御と遺伝子発現との関連性について探求する。シナプトネマ複合体は,2本のaxial elementsとそれを連結するtransvers filamentsからなる3層構造を持つ特殊な複合体であり,相同染色体の対合・組換えの進行と平行して形成される。その構造内には,その構成分子として知られるSYCP3やSYCP1の他に,コヒーシンや組換え関連タンパク質などが局在する。本年度は,超分解能を持つ光学顕微鏡システム3D-SIM法を利用して,シナプトネマ複合体上に局在する分子群の局在位置を解析した。これまでに,対合前のaxial elementsを架橋するようにコヒーシンの局在が見られること,また対合状態のaxial elementsのより内側にコヒーシンが局在することを見いだしているが,3D-SIM法により,組換え中間体の構成分子であるMSH4とのシグナルの重なり具合を調べたところ,Rad21Lの方がRec8よりもその割合が高かった。また,コンデンシンのサブユニットであるSMC2 KO胚では,分裂期に個々の染色体が形成されず,その結果細胞が分裂期で停止あるいは染色体の不分離が起こることを明らかにしている。また,そのような胚では,間期核内のクロマチン構造にも異常が観察されるので,コンデンシンによる間期核クロマチンの構造制御との関係も示唆された。これらの結果を,国際学会(WCRB2014, Edinburgh)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
減数分裂前期のコヒーシンの解析では,3D-SIMを利用して,組換え関連タンパク質と減数分裂特異的コヒーシンサブユニットとの関連を調べるとともに,来年度以降に行う培養細胞における異所発現系の準備も行っている。また,初期胚におけるコンデンシンの解析についても,コンデンシンIとコンデンシンIIの発現パターンを調べているので,研究は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画通りに,前年度の研究を継続・発展させながら,今後の研究課題を遂行する。具体的には,精巣抽出液の免疫沈降物をLC-MS/MS解析により,シナプトネマ複合体タンパク質やコヒーシンサブユニットと相互作用する分子を同定する。また,培養細胞における減数分裂期コヒーシンの異所発現の影響を検討する。さらに,3種類のコンデンシンサブユニットのコンディショナルノックアウトマウスを利用して,減数分裂や初期胚におけるコンデンシンの生体内機能の解析を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品などをキャンペーン価格などで購入することにより,物品費を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の物品費に使用する。
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Remarks |
http://www2.kobe-u.ac.jp/~jibaklee/
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