2015 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫セルロース消化系の効率化に寄与した代謝因子の探索
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26292177
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| Research Institution | University of the Ryukyus |
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Principal Investigator |
徳田 岳 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (90322750)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 淳 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (00321753)
大熊 盛也 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 室長 (10270597)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 代謝 / セルラーゼ / シロアリ / ゴキブリ / セルロース |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は米国東部（ノースカロライナ州、バージニア州、ジョージア州、テネシー州）でキゴキブリ（Cryptocercus punctulatus）を採集したほか、カリフォルニア州北部でC. clevelandiを、韓国においてC. kyebangensisをサンプリングした。米国東部と韓国産のキゴキブリについて、消化管各部と脂肪体、ならびに血中の遊離アミノ酸量を定量した結果、後腸にのみ顕著な差が認められた。また、キゴキブリと食材性オオゴキブリ（Panesthia angustipennis）について13C標識セルロースの摂食実験を実施した。NMRによる解析の結果、消化管内代謝物の標識率は摂食後8日目付近で最大となることが示唆された。アミノ酸のシグナルは特に後腸で強く検出されたが、共生細菌が分布する脂肪体では強いシグナルは認められなかった。また脂肪体のシグナルのパターンは後腸よりも、中腸や前腸と似ていた。
さらにゲノム解析によって明らかになったセルラーゼ配列についても引き続き検討した。ゲノム中に4個あるセルラーゼ配列のうち２つは発現レベルのデータや触媒領域のアミノ酸配列から消化酵素である可能性が考えられたが、ひとつは触媒領域のアミノ酸が置換されていることに加え、頭部で強い発現が認められたことから、セルラーゼではなく補助的な役割を担う可能性が推定された。残る一つについては、これまで虫体から抽出されたRNAに対するRT-PCRでは検出されておらず、今後さらに検討を進める必要がある。
また、これらに加え、高等シロアリの組織複合域が消化に果たす役割についても検討した。トランスクリプトーム解析から、消化管のアルカリ化に関与する因子としてV-ATPaseとNHEチャンネルが推定された。今後これらが実際に腸管内のアルカリ化を通じて木片の可溶化に貢献しているかどうかを検証する必要がある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMR解析についてはサンプリングの日程調整がうまく進まなかった関係もあり、やや進捗の遅れが認められるが、その他の研究についてはほぼ順調に進んでいるため。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後比較解析に必要な韓国産キゴキブリの採集を実施する。引き続きNMRによるゴキブリ消化管内代謝物の解析を進め、13C標識セルロース代謝の経時変化を明らかにしていく。また、新たに見つかったセルラーゼ様配列の発現部位と機能について検討することに加え、組織複合域がセルロース消化の効率化に果たした役割についても検討を進める。
これらの研究成果を米国オーランドにおいて開催予定の国際昆虫学会議（ICE2016)で発表するとともに、論文の執筆を進め、研究の取りまとめを行う。
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| Causes of Carryover |
代謝物解析のための韓国産キゴキブリサンプルを2-3月に採集予定であったが、受入研究者との日程の都合がつかず、翌年度に延期されたために当該費用をを繰り越した。なお、繰越額の一部は、9月に開催予定の国際昆虫学会議（ICE2016）の参加登録費である。参加登録費はすでに学会側でEarly Birdとして設定された3月中に立替払い済みであるが、大学の規定上、参加登録費の立替払い申請は出張申請書と併せて提出する必要があるため、出張予定の確定する次年度に相当額を繰り越した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額の一部は、前年度より延期した韓国サンプリングに必要な費用として使用する。また、9月の国際学会への出張予定確定時点で、参加登録料分の繰越額を私金立替払請求書により清算する予定である。
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Research Products
(9 results)
