2014 Fiscal Year Annual Research Report
炭素固定酵素ルビスコの高機能化と活性化促進による光合成リミットブレイク
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26292193
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
蘆田 弘樹 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50362851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ルビスコ / 光合成 / CO2固定 |
Outline of Annual Research Achievements |
好熱性シアノバクテリア2種と常温性シアノバクテリア一種のルビスコの大腸菌発現系を用いて解析した結果、好熱性ルビスコは常温性ルビスコと比較して高い発現量を示した。これは、好熱性シアノバクテリアのルビスコが高温耐性を示し、特徴的な構造を有しているからであると予想された。またこの特徴と低O2反応性の間に強い関連性があることが考えられた。新たに取得した好熱性シアノバクテリアルビスコの配列を加え、比較解析した結果、シアノバクテリアの熱耐性と酵素特性には、スモールサブユニットが関与している可能性が考えられた。 植物生体内におけるルビスコ活性化機構を解析するために、タバコから2種のルビスコアクチベース遺伝子を単離し、それぞれタバコ葉緑体ゲノムに導入したルビスコアクチベース過剰発現葉緑体形質転換タバコの作製を進めた。その結果、それぞれの形質転換体候補を獲得した。 ルビスコのCO2固定基質であるリブロースビスリン酸合成量を植物で増加させる新規代謝構築のため、アーキアにおけるリブロースビスリン酸合成代謝の解析を行い、これに関わる酵素・遺伝子の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り、本研究目的であるルビスコの機能発現最適化のために必要となる、ルビスコのO2反応性機構と活性化機構の解明に関して、予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、好熱性光合成生物である好熱性シアノバクテリアと常温性シアノバクテリアのルビスコの詳細な酵素解析を行い、好熱性シアノバクテリア ルビスコが常温性シアノバクテリアのものと比較して、低いO2反応性と高い熱安定性を示す原因がスモールサブユニットにあると予想された。そこで、本年度は、これらのスモールサブユニットを好熱性と常温性シアノバクテリア ルビスコ間でスワップした変異酵素を作製し、解析することで、O2反応性と熱安定性の相関性を解析する。またルビスコの進化的基盤であるアーキアのルビスコの発現系を用い、それらの酵素特性を解析し、O2反応性の進化的原因を明らかにする。さらに、ルビスコアクチベース遺伝子を葉緑体ゲノムに導入した形質転換タバコの作製を行い、現在、形質転換候補が得られている。これら候補の遺伝子導入の有無を確認し、ルビスコアクチベース過剰発現葉緑体形質転換タバコのラインの確立を行う。完成した形質転換体は、ルビスコアクチベース発現量と光合成特性、植物生育の関係をコントロールと比較し、過剰発現効果の解析を進める。アーキアのリブロースビスリン酸合成代謝は、これら生物での生体内機能と代謝速度の解明が必要であるため、メタボローム解析を用いた機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
大きく3つの研究項目を進行させているが、その中の1つの研究項目が予想よりもよく進展し、また本研究目的に対する重要度が高かったため、他研究項目よりこの研究項目を優先した結果、他項目使用予定であった額が次年度使用額として生じた。しかし、全体の研究進行が遅れた訳ではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と翌年度分請求研究費を合わせて、他項目を進めるとともに、本年度の研究計画である全ての研究項目を遂行する。
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Research Products
(2 results)