2015 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質表面での反応を制御するペプチドの構造機能化
Project/Area Number |
26293002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大和田 智彦 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20177025)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アミド / ペプチド / トランスニトロソ化 / ニトロソアミン / 非平面化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)タンパク質ータンパク質間で起きるタンパク質表面認識であるヘリックス-ヘリックス相互作用と2)それに引き続くタンパク質表面反応であるトランスニトロソ化反応を、それぞれ制御する生体アミノ酸の機能を超越するプロリン様アミノ酸の構造機能化を研究し、タンパク質表面上の反応を人工的に制御する化学基盤を構築することにある。S-ニトロソシステインより安定だかトランスニトロソ化能を有するプロリン誘導体のN-ニトロソアミンの機能化や生体にあるαヘリックスとは異なる構造規則性を有するヘリックス構造を多様化し創製し、タンパク質の表面での相互作用を介して特異的なS-ニトロソ化を起こし、タンパク質の機能を制御するための基礎となるタンパク質の表面認識および表面反応の基盤化学を構築することにある。本年度の研究では特に (1)シス-アミドを優先することがホモオリゴマーで判明したプロリン様アミノ酸とα-アミノ酸を結合したヘテロオリゴマーミミックの合成を実施し溶液構造を解析した。特にアミドのシス構造優先性の一般性の検証、またアミド異性化が引き起こす近接アミノ酸構造への影響を調べた。 (2) プロリン様アミノ酸とα-アミノ酸を結合したヘテロオリゴマーの溶液構造における水素結合の有無とアミド窒素ピラミッド化の連関を調べた。 (2)生細胞応用可能な光切断型NO発生構造の最適化を行った。N-ニトロソアミンに細胞応用性を付加する。AMエステルを分子内に導入して細胞内滞留性を上げ、細胞内での可視光照射によるNO産生を、生体由来NO検出系を組み込んだ細胞で観測した。 (3)トランスニトロソ化反応の一般性を研究するため有機溶媒中での反応を解析することにした。トランスニトロソ化能を有するニトロアミン構造の重要な置換基を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界で初めて、アミド窒素ピラミッド化が制御可能であることを論文発表した。また論文発表には至っていないが、他の成果についても基礎となる学会発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文化するためにさらに現在までに得られたデータを先鋭化し、さらに光刺激NO放出をin vivoで検出し、またα-アミノ酸の構造化にアミドーシス指向性二環性分子を組み込んだ分子の溶液構造をさらに解析する。また比較化合物を合成して、構造制御の可能性を明快に示す。最終年度のため論文化を進める。
|