2015 Fiscal Year Annual Research Report
脱水縮合反応を志向した新規骨格を有する電子欠乏性含窒素芳香環の開発
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26293003
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 耕平 金沢大学, 薬学系, 助教 (40583232)
北村 正典 金沢大学, 薬学系, 准教授 (80453835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脱水縮合剤 / トリアジン / アミド |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボン酸とアミンからアミドを構築する脱水縮合反応は、創薬科学研究並びに生命科学研究に欠かせない汎用性の高い技術であり、中でも報告者が開発した1,3,5-トリアジンを基本骨格とする脱水縮合剤 4-(4,6-dimethoxy-1,3,5- triazin-2-yl)-4-methylmorpholinium chloride (DMT-MM)は、水中やアルコール中でもカルボン酸とアミンの脱水縮合反応が選択的に進行しアミドを高収率に与えることから、広く用いられている。本研究では、π電子欠乏性のトリアジンへの各種置換基の系統的導入や、トリアジン骨格の改変により新規縮合剤を開発するものである。報告者らは、前年度に引き続き多数の新規塩化トリアジン類を合成し、モデル反応を指標に、置換基に依存した反応性とアミド収率の相関性を系統的に明らかにした。得られたもののうち、反応性、経済性、安全性等の点から有用な化合物の絞り込みを行い、それらについて3級アミンの導入による真の縮合剤合成を検討し、各置換基群において安定なアンモニウム塩の合成に成功した。一方、骨格変換についても検討し、計画に示したトリアジン骨格が期待通り高反応性を示すことを見出し、その骨格の最適化と効率的合成法を見出した。得られた化合物について各種脱水縮合を行うことにより、高活性、低活性など縮合能の制御された複数の反応剤の開発に成功した。更に得られた知見に基づいてタンパク質の効率的化学修飾法への応用と、ポリマー縮合剤への応用展開を行った。一方、骨格変換の研究から得られた知見に基づいて、高活性アルキル化剤の研究について有用な知見を見出すことが出来た。一部の研究成果は3件の特許出願と2件の学術論文として発表し、更に次年度にも論文として投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実施計画に沿って、順調に研究が進行しているため。 特に、開発した縮合剤の特徴を利用した応用研究としてタンパクの化学修飾や固定化縮合剤への展開にも成功している点は評価出来る。また、計画書の研究目的に記載のとおり、得られた知見に基づいて縮合剤以外の反応剤の開発への展開も順調に進んでいる。 一方、学術論文への発表がやや遅れており、これについては次年度に順次発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、塩化トリアジンから更に各種トリアジニルアンモニウムの合成を進める。また、X線結晶構造解析を用いて得られた縮合剤の構造と活性の相関を明らかにし、置換基効果の定量的解釈を検討する。 一方で、見出した各種置換基を複数組み合わせた塩化トリアジンの合成を進め、反応性や物性を微調整できる多機能縮合剤の開発を目指す。また、縮合剤の応用研究として医薬品合成を指向したマクロラクタムやマクロラクトン合成、立体障害や電気的因子により反応性の低い化合物の反応に適したテーラーメード縮合剤の開発、更にタンパク質の効率的化学変換への利用などへと展開する。
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Causes of Carryover |
研究室にストックされている試薬を活用することにより、当初予定していた反応剤の原料や反応基質の購入が抑えられたことや、ガラス器具の消耗が当初予定より少なくなり、購入費用が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、タンパク質の化学変換や医薬品などの大環状化合物の合成への応用を行うため、これらの原料をはじめ消耗品費が計画より多く必要になると考えられるのでそれらの購入に使用する。また、得られた研究成果について積極的に論文投稿や学会発表を行うので、その経費にも使用する。
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Research Products
(16 results)