2015 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスシグナル制御とその異常による炎症・自己免疫疾患発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
26293011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松沢 厚 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80345256)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス / シグナル伝達 / 活性酸素 / 炎症 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ユビキチン化によるASK1活性制御機構と免疫シグナル制御機構の解明について継続して取り組み、さらに、感染ストレスセンサー分子によるASK1を介した免疫シグナル制御機構の解明や、炎症・自己免疫疾患モデルを用いて、それら分子の生理機能の検討も行った。 我々が同定したASK1特異的なユビキチン化酵素Roquin-2が、ASK1のユビキチン化分解による活性制御を介して免疫応答シグナル制御を行うことに加えて、ASK1以外のシグナル分子も標的として免疫応答を微調整している可能性を新たに見出した。また、我々がASK1活性化因子として同定したユビキチン化関連酵素TRIM48についても、そのユビキチン化分解の標的分子を同定して機能解析を進めた結果、TRIM48がASK1の不活性化機構を調節制御する分子であり、その詳細なメカニズムを明らかにすることができた。 また、ウイルスRNAなどの病原体を直接感知するセンサーの候補としてDNAヘリカーゼ様分子DHX15を我々は同定したが、実際にDHX15はASK1の活性化の強く増強することが判明し、ASK1活性制御機構を介して免疫応答シグナルを調節している可能性を見出した。DHX15の免疫シグナルへの寄与についての詳細なプロファイルも解析し、免疫応答に重要なシグナルを特異的に活性化することが分かった。 さらに本年度は、DHX15コンディショナル欠損マウスの作製にも成功した。この遺伝子改変マウスを用いて、幾つかの炎症・自己免疫疾患モデルを検討した結果、DHX15欠損によって炎症や免疫応答が減弱し、病態改善が認められるモデルがあることが分かった。ASK1欠損マウスでは接触皮膚炎モデルの病態が改善することを見出しているが、DHX15がASK1活性制御機構を介して免疫応答シグナルを調節している可能性を考えると、DHX15欠損マウスでの炎症や免疫応答の軽減による病態改善作用の一部はASK1活性化の抑制によるものであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、様々なASK1制御因子や感染ストレスを感知する分子の機能解析を行い、感染ストレスの感知機構と、感染ストレスの強度に応じた免疫応答シグナルへの量的変換の仕組み、すなわち「ストレス受容-応答システム」の全容を解明することにより、炎症・自己免疫疾患の新規標的分子同定や治療戦略開発に繋げることである。 これまでに、ASK1活性制御分子として幾つかのユビキチン化関連酵素同定し、その分子機能解析の結果から、個々のユビキチン化関連酵素による詳細なASK1活性制御メカニズムが明らかとなり、また、それらのユビキチン化関連酵素群によってASK1の活性化のバランスが微調整されることで、感染のようなストレスの強さや持続時間に応じて、免疫応答やストレス応答のなどの適切な生理作用が誘導されることが分かってきた。 さらに我々は、病原体を感知するセンサー分子の候補としてDNAヘリカーゼ様分子DHX15を同定し、DHX15がASK1活性制御機構を介して免疫応答シグナルを調節している可能性を見出している。DHX15コンディショナル欠損マウスなどの作製にも成功し、このような遺伝子改変マウスを用いて、幾つかの炎症・自己免疫疾患モデルも検討した結果、DHX15が炎症や自己免疫疾患に関わる病態に深く関与していることが明らかになってきた。 以上のことから、本年度の目標・実施計画はほぼ完了し、今後も研究計画に従って解析を進めることで、当初の本研究の目的は研究期間内に十分に達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、新たに同定したユビキチン化関連酵素群によるASK1を介した免疫シグナル制御機構の詳細な解析を進めると同時に、さらに、新たに同定した感染ストレスセンサーDHX15の生理機能の解析と炎症・自己免疫疾患モデルにおける評価を中心に検討を推進したい。 特に、ASK1活性化因子であるユビキチン化関連酵素TRIM48のユビキチン化分解の標的分子として同定した新規分子が、どのようにしてASK1活性化を制御するのか、その詳細なメカニズムを明らかにすること、また、感染ストレスセンサーDHX15の炎症・免疫応答における具体的な役割について、遺伝子改変マウスなどを用いて明確に示していくことで、ストレス受容-応答システムの分子レベルでの解明に迫りたい。
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[Journal Article] PXR stimulates growth factor-mediated hepatocyte proliferation by cross-talk with the FOXO transcription factor.2016
Author(s)
Shizu, R., Abe, T., Benoki, S., Takahashi, M., Kodama, S., Miayata, M., Matsuzawa, A., Yoshinari, K.
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Journal Title
Biochem. J.
Volume: 473
Pages: 257-266
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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