2015 Fiscal Year Annual Research Report
血管と免疫のクロストークによる敗血症発症機構の解明と治療薬開発への応用
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26293014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 欣晃 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50444500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 健史 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00211409)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Robo4 / 血管内皮細胞 / 免疫細胞 / 炎症 / 単球 / 炎症性サイトカイン / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、微生物感染が原因となる全身性炎症反応症候群であり、高率で死に至る極めて重篤な疾患である。現在効果的な治療法はなく、その発症メカニズム解明と新規治療法開発が急務となっている。我々は血管内皮細胞に特異的に発現する新規レセプターRobo4の機能解析研究を行う過程で、「Robo4ノックアウトマウスが敗血症に顕著な抵抗性を示す」ことを見出した。本研究では、まずRobo4のノックアウトがマウスに敗血症抵抗性を誘導するメカニズムを「血管炎症と免疫炎症」の両視点からの解明を目指している。 これまでの結果から、内皮細胞のRobo4が接触する単球からのIL-6産生を制御することが見出された。そこで今回、内皮細胞上のRobo4が内皮細胞から分泌される単球制御因子(IL-8、GM-CSF)の分泌を制御し、接触する単球からのIL-6産生を制御する可能性について解析した。内皮細胞におけるRobo4の発現抑制は、炎症刺激をうけた内皮細胞からのIL-8、GM-CSF産生を抑制し、Robo4の強制発現はIL-8、GM-CSF産生を促進した。このことからRobo4は炎症下の内皮細胞からのIL-8、GM-CSF産生を制御することが明らかになった。また、内皮細胞と単球の共培養系へのIL-8、GM-CSF中和抗体添加実験から、GM-CSFの中和抗体が共培養系におけるIL-6産生を優位に抑制することが明らかになった。これらの結果から、Robo4は炎症下の内皮細胞からのIL-8、GM-CSF産生を促進すること、また、特にGM-CSFが接触する単球に作用し単球からのIL-6産生を促進することが示唆された。本結果から、Robo4の発現抑制は内皮細胞のみならず免疫細胞からのサイトカイン産生を抑制し、マウスに抵抗性を誘導した可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
血管内皮細胞と免疫細胞とのクロストークに関与するサイトカインを想定以上に早く同定でき、平成28年度予定のスクリーニング実験に早期着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に想定以上の進捗により得られた時間と研究費を最大限活用し、平成28年度の研究スピードの最大化を図り、当初予定の早期完遂と研究の質的向上に尽力する。
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Causes of Carryover |
血管内皮細胞と免疫細胞とのクロストークに関与するサイトカインを想定以上に早く同定でき、研究費の節約が可能となったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に節約できた研究費を、平成28年度の敗血症治療薬開発研究のスピードと質の向上に最大限活用する。
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[Presentation] Claudin を標的とした創薬基盤技術の開発~claudin-4 を標的としたがん治療戦略の有効性及び安全性の評価~2016
Author(s)
松田 基, 橋本洋佑, 川東祐美, 畑 智幸, 渡利彰浩, 近藤昌夫, 岡田欣晃,多田 稔, 石井明子, 深澤征義, 土井健史, 八木清仁
Organizer
日本薬学会 第136年会
Place of Presentation
横浜(神奈川県)
Year and Date
2016-03-29 – 2016-03-29
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[Presentation] Tricellular tight junction を標的とした新規バリア制御技術、angubindin-1 の開発2016
Author(s)
山本浩樹, 井口大輔, 早石知浩, Susanne M. KRUG, Michael FROMM, 渡利彰浩, 岡田欣晃, 竹田浩之, 永浜政博, 土井健史, 澤崎達也, 近藤昌夫, 八木清仁
Organizer
日本薬学会 第136年会
Place of Presentation
横浜(神奈川県)
Year and Date
2016-03-28 – 2016-03-28
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