2015 Fiscal Year Annual Research Report
ABHファミリーによるRNAエピジェネティクス制御と癌における制御破綻機構の解明
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26293015
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10207376)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 癌 / RNA / エピジェネティクス / ABHファミリー / 脱メチル化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の研究を実施し成果を得た。
１）ABH3ノックダウンによるRNAメチル化レベルの解析：RNAには種々の修飾体の存在が知られていた。しかしそれらの癌細胞における存在や発現は十分な解析がなされていなかった。そこで、ウエスタンブロットや質量分析計を用いることによりRNA修飾塩基の解析法を確立し、評価を実施した。その結果、作製した蚕リコンビナントABH3により1-methyladenineや3-methylcytosineが基質となり脱メチル化されることを認め、それらの塩基修飾がABH3ノックダウン膵臓癌細胞でも発現上昇していることを明らかとした。さらに網羅的なRNA修飾解析を実施するため、四重極型飛行時間型質量分析計を用いた条件設定を完了し、H28年度における測定を可能とした。
２）In vivo xenograftモデルならびに遺伝子改変動物を用いて癌化、癌の悪性化とABHファミリー分子発現やRNAメチル化レベルとの相関性解析：In vivo xenograftモデルとして膵臓癌細胞の背部皮下移植モデルを遺伝子改変動物として、KrasG12D floxとPtf1a-Cre交配による膵臓癌発症モデルを構築使用した。XenograftモデルにおいてはABH3のタンパク質レベルでの発現が確認され、siRNAによりその発現低下と、抗腫瘍作用が認められた。また弱いながら1-methyladenineレベルの上昇も確認できた。膵臓癌発症モデルでは、発症までに半年から1年かかるが病理組織レベルで膵臓癌細胞の存在をみとめた。こららの腫瘍を用いてRNA修飾塩基の解析が可能とした
３）ABHファミリー発現抑制細胞株株の作製：レンチウイルスを用いてABHファミリー発現抑制正常細胞株の作製を進め、H28年度に向けた解析を可能とした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAメチル化レベルの検証で最大の難関であった検出法として、四重極タンデム質量分析計や、四重極型飛行時間型質量分析計を用いて測定可能としたことは最終年度に向けた研究を加速させることができる。またin vivo癌モデルもxenograftと遺伝子改変動物で実施できた。またABH3に関してはRNAの1-methyladenineと3-methylcytosineが、さらにtRNAでなN6-methyladenineも基質となることを突き止め、in vivoでも一部確認できた。よっておおむね順調に進展しているとした。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるH28年度は、H27年度構築した評価モデル、評価系によりRNAエピジェネティクスと癌との関係を明確にする。さらにABHファミリー分子によるRNAエピジェネティクス制御に関しても前進させる。さらに腎癌臨床検体を用いることにより、細胞や動物レベルでの結果とヒト癌との関係を明示する。これらの研究により、当初予定したように
１）癌細胞においてABH3高発現がRNA塩基の脱メチル化を促進し、癌の生存性や悪性化をもたらす分子機序を示す
２）ヒト癌臨床検体や癌発症遺伝子改変マウスにおけるABHファミリー分子の発現とRNAメチル化レベルとの相関性を調べ、ABHファミリー分子の癌細胞における機能解明を展開する
３）正常細胞においてABHファミリー分子はRNAエピジェネティクスを巧妙に制御している事実を明示する
計画である。
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| Causes of Carryover |
今年度の研究成果から判断し次年度において質量分析計を用いて網羅的解析が必要と考え、次年度経費を確保することとした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に目標達成のため、質量分析計解析を含めて使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
