2014 Fiscal Year Annual Research Report
がんの進展と再発を制御する細胞内シグナルを標的とした天然物の探索と機能解明
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26293022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 緑 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40373261)
當銘 一文 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (80563981) [Withdrawn]
石川 直樹 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20748826)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 癌 / 生理活性 / 有機化学 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,がんの進展と再発を制御する細胞内シグナルに作用する天然物のスクリーニングを行い,有用な低分子化合物を見出すことを目的としており,とくに,がん細胞の治療抵抗性の要因となる自己複製能と多分化能の獲得に必須な細胞内シグナルとして知られるウィント(Wnt),ヘッジホッグ(Hh)シグナル,および癌細胞選択的なアポトーシス誘導因子トレイル(TRAIL)を対象とたスクリーニングを行った. 1)Wntシグナル阻害作用をもつ天然物のスクリーニングの結果,オオバコ科植物から単離したscopadulciolはヒト胃がん細胞AGSにおいて核内のβ-cateninを減少させたが,プロテアソーム阻害剤MG132を併用するとβ-cateninの減少は認められなくなった.これによりscopadulciolはプロテアソーム依存性のβ-cateninの分解を促進することが示唆された.Trichillin Hは細胞質および核におけるβ-cateninを減少させなかったが,Wntシグナルの標的タンパク質であるc-mycの発現を抑制した.従って,trichillin HはWntシグナル経路の中でもβ-cateninより下流に作用するものと考えられた. 2)ナス科植物からHhシグナル阻害作用をもつ高度に酸化されたステロイド誘導体physarin Hを単離した.本化合物は顕著なGLI1転写阻害活性を示し,Hhシグナルの標的タンパク質であるPtchやBcl2の発現を減少させ,GLI1タンパク質とGLI1結合領域を有するDNAとの複合体形成を阻害した. 3)クワ科植物よりTRAIL耐性克服作用をもつ数種のプレニル化フラボンを単離した.そのうちの一つのartonin EはROS(活性酸素種)を発生を引き金としてデス受容体DR5の発現上昇を介して,カスパーゼを活性化させ,アポトーシスを誘導することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウィント,ヘッジホッグ,およびトレイルシグナルに対するスクリーニング研究の成果として,タイおよびバングラデシュ産植物,および放線菌からから数多くの活性化合物を単離した.それらの中には新規化合物も数種含まれていた.また,数種の代表的な活性成分に対する作用機構の解析を行い,興味深い知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
ウィント,ヘッジホッグ,およびトレイルシグナル経路に関してさらに継続してスクリーニング研究を行っていく.これまでに得られた活性成分の中から,とくに興味深い作用を示すことが期待される代表的な化合物を数種選別し,それらについての作用メカニズムを分子レベルで解析する実験をさらに進展させる.とくに,Wntシグナル阻害作用をもつインドール型アルカロイドやTRAIL耐性克服作用を示すセスキテルペン等についてシグナル経路の構成分子への影響や標的分子解明に向けて検討する.
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Causes of Carryover |
ほぼ予算どおりに研究費を使用したが,物品費(研究試薬等消耗品)について,若干の残額が生じた.少額であったため,あえて使い切ることはせず,次年度に使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(研究試薬等消耗品)について,26年度予算に若干の残額が生じたが,27年度に使用する物品費(研究試薬等消耗品)の一部とする.
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Research Products
(12 results)