2015 Fiscal Year Annual Research Report
創薬への応用に向けたrasがん遺伝子産物の構造ダイナミクスの分子機構の解明
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26293026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 扶美 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60335445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 成典 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10379480)
熊坂 崇 公益財団法人高輝度光科学研究センター, その他部局等, 研究員 (30291066)
片岡 徹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40144472)
松本 篤幸 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00753906)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医薬分子設計 / がん遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでH-Ras(1-166)野生型のH32結晶については、HAG法を用いた湿度調整でState 2からState 1への構造転移が起きることを示してきた。今年度は、この転移原因を構造に基づいて詳細に検討したところ、HAG法を用いなくても溶液条件の変化のみで転移を引き起こせることが明らかとなった。つまり、pHや添加する金属イオンの種類や濃度によって、転移が促進あるいは阻害されることがわかった。この結果を踏まえて溶液中での構造転移の実現に向け、展開を検討している。 GTPと結合したH-Rasの構造遷移を、ターゲット(目標構造)を設定するPaCS-MD法を用いて解析した。今まで、State 1(Z62A)からスタートしてState 2(Z64A)を目標としたMD計算において、Switch IIは閉じたものの、Switch Iがどうしても閉じなかったが、今回、いきなりState 2を目指すのではなく、まずはTS(遷移状態)構造(Z61A)を目標とし、次にState 2を目標とする、という2段階のシミュレーションを行うことで、Z62A→Z61A→Z64Aの遷移過程を初めて再現することができた。今までのシミュレーションでは、途中でSwitch IIが過剰に閉じすぎることでSwitch Iの変化を阻害していたが、今回はSwitch Iが閉じる際にSwitch IIがわずかに開くことで、State 2への遷移が初めて可能となった。現在、逆向きのZ64A→Z62AのPaCS-MDシミュレーションを行っている。 また、State 1からState 2へ向かうMDシミュレーションの途中結果を用いて、構造変形に伴う、Ras周囲の水を含む水素結合ネットワークに対するエントロピーの動的変化の解析も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画と照らし合わせて、X線結晶解析についてはほぼ予定通り進んだ。 MDを用いたH-Rasの分子構造変化ダイナミクスの解析はほぼ予定通りに進んだが、フラグメント分子軌道(FMO)法による構造精密化や相互作用解析は未着手であり、70%程度の達成度と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Rasの分子構造変化ダイナミクスを解析する上で、情報科学的な手法の適用が有効であることが判明したので、今後、これらの手法を取り入れた解析を実行する予定である。
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Causes of Carryover |
X線結晶解析が予定より早く進み、消耗品として予定していた費用に余剰が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算化学実験量が増えたため、人件費と物品費に使用するため
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Research Products
(1 results)