2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲフィチニブ耐性非小細胞肺がんに有効なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の開発
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26293028
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩尾 正倫 長崎大学, 工学研究科, 教授 (00100892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 郁人 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (10192486)
福田 勉 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80295097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非小細胞肺がん / 薬剤耐性変異 / EGFR-TKI / ゲフィチニブ / アファチニブ / ラメラリン |
Outline of Annual Research Achievements |
① ラメラリンNのD環部及びF環部改変アナローグを合成し、EGFR阻害活性評価を行った。しかしながら、これらのアナローグは、いずれもIC50 が1,000nM以上であり顕著な活性は示さなかった。
② 一方、ラメラリンNのA環部改変水溶性アナローグLam 14が、耐性変異EGFR T790M/L858Rに対して高い阻害活性を示すことが明らかになった(IC50=8.9 nM)。一方、Lam 14は正常細胞に存在する野生型EGFRに対する活性は低く(IC50=32 nM)、耐性変異EGFRに選択的な阻害剤であることも明らかになった。また、Lam 14は、EGFR T790M/L858R発現肺がん細胞NCI-H1975において、EGFRの自己リン酸化、ならびに下流シグナルを抑制した。しかしながら、Lam 14の細胞増殖抑制活性は、臨床応用されている第二世代非可逆型EGFR-TKI, アファチニブに比較すると低く、NCI-H1975を移植したゼノグラフトモデルにおいても抗腫瘍活性を示すことはなかった。その原因としては、Lam14が細胞内の高ATP濃度(~1 mM)においては、EGFR T790M/L858Rの活性を十分に抑制することができないためであると予想された。
③ ②の結果に基づき、高ATP濃度下においてもキナーゼ阻害活性を示すアザラメラリンにスカフォールドを変更することとした。アザラメラリンNについてもラメラリンNと同様にA環部の置換基が活性や選択性に大きな影響を与えると予想されたため、A環部改変アザラメラリンNアナローグの効率的な合成法を新たに開発し、実際に数種のアナローグの合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の① ②により研究は、おおむね順調に進展しているものと判断した。
① ラメラリンNのA環部の構造改変により、耐性変異EGFR T790M/L858Rを強力かつ選択的に阻害する水溶性アナローグLam 14の創出に成功した。Lam 14自身はin vivoおいて抗腫瘍活性は示さなかったものの、その創出過程における構造活性相関研究により、活性および選択性発現に関する有意な知見を得ることができた。
② 上記の結果より新たにアザラメラリンスカフォールドのアイデアを得た。また、アザラメラリンスカフォールド構築のための効率的な合成手法の開発に成功し、高活性と高選択性を示すことが期待されるA環部改変アザラメラリンNアナローグの合成を達成した。現在、これらのアナローグのin vitroでの活性評価が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
① A環部改変アザラメラリンNアナローグのin vitro活性評価を受けて、耐性変異肺がん細胞NCI-H1975移植ゼノグラフト系において抗腫瘍活性を示す化合物の創出を目指す。
② 抗腫瘍活性試験(動物実験)のため、A環部改変アザラメラリンNアナローグの量的供給を可能とする合成法を確立する。
③ 耐性変異EGFR T790M/L858Rをもつ非小細胞肺がんに対する治療薬として、第三世代非可逆型EGFR-TKI, AZD9291がFDAから最近認可された。しかしながら、AZD9291の使用により新たな耐性変異EGFR T790M/C797S/L858Rが生じることも報告された。この耐性変異については、臨床レベルにおいても顕在化することが懸念される。そこで、①で抗腫瘍活性を示すアザラメラリンアナローグが得られた場合、その化合物のT790M/C797S/L858Rに対する有効性も検証する。
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Causes of Carryover |
交付された助成金を真摯に使用していった結果、当初予定よりも物品費および人件費・謝金が節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた計画に加え、合成した阻害剤の純度測定のための高速液体クロマトグラフィー用カラムを購入する。
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Research Products
(6 results)