2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化過程における生体微量元素変動とその分子制御機構の解明
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26293030
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小椋 康光 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 特任教授 (40292677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 紀行 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10376379)
阿南 弥寿美 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (40403860)
小泉 信滋 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 研究企画調整部, 特任研究員 (80183325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体微量元素 / 銅 / セレン / ICP-MS / ESI-MS / メタロミクス / スペシエーション / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の計画通り、いくつかの細胞種において分化誘導を行った際の微量元素の変動を網羅的に解析する手法の確立に、まず着手した。当初から想定されていたことではあるが、分析の際に、どのように測定を標準化するかが大きな検討事項となった。種々の検討の結果、分化誘導の前後において、DNA量は変動しないことに着目し、DNAの構成成分であるリン酸に着目し、リンの量を内部標準として設定する手法を確立した。これにより、分化誘導前後での微量元素の網羅的変動解析が、より定量的に実施できることを示すことができた。 また重金属による転写誘導の機構を明らかにする項目では、重金属依存性転写因子の機能とその支配下にある金属結合タンパク質の機能とがクロストークをしているのではないかということを示唆する結果を得ている。外来性のレポーター遺伝子と内在性の支配下にある複数の遺伝子の発現をさらに検討することを次年度に計画している。 生体微量元素の高感度微量分析法の開発においては、各種の質量分析器を用いて微量元素測定を行う際の感度や精度について比較を行い、これまで漫然と使用されてきた機器分析法について、利点と欠点を明確に示す結果を報告した。 細胞内の銅をイメージングするための蛍光プローブは、従来型のものと改良型のものを独自に合成することに成功し、実際の培養細胞を用いて評価する段階に入ることができた。次年度にはオルガネラ指向性を持たせるなど、さらなる改良型の開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの実施項目について、明確な進展があり、論文発表も順調に進んでいる。次年度は全ての項目で論文発表が可能となるように、さらに加速したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき研究を推進していくことを基本方針とする。 今のところ、研究計画の変更を考慮しなければならないほどの課題等は想定していない。網羅的な微量元素の測定を行うために高品質の純水が必要であることがわかり、超純水製造装置を購入する必要が生じたが、昨年度からの研究費の効率的な使用により、購入に必要な費用を、研究計画の変更を伴わずに、捻出することができている。
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Causes of Carryover |
年度内に異動があり、また当該年度内に計画していた研究が目標通り進んでいたため、最後の部分の研究計画を次年度に移行したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部年度を移行した研究計画については、異動後に速やかに着手予定であるため、当初の執行計画に従って、次年度以降の予算とともに使用する計画である。
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