2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機アニオントランポーターの希少疾患を基礎とした普遍的腎不全治療薬の開発
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26293031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トランスポーター / 腎不全 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年には腎疾患病態モデル動物と腎不全患者の血液・尿での早期腎不全バイオマーカー候補となる代謝物質の濃度変化を検討した。 さらに我々が同定した代謝物質が実際に動物や遺伝子異常患者だけでなく一般の腎機能障害者にも蓄積する事を確認するためにはより定量性・正確性に優れる測定系を立ち上げる必要があった。 そこで内部標準を用いたLC/MS/MSによる分離・代謝物質定量系を構築し、ヒトにおける組織障害と血中代謝物質濃度の関係について検討した。まず初めに心臓血管外科において、体外補助循環を用いて大動脈弓部置換術を施行した患者の術中検体をサンプルとした。その結果、ELISAで検知しうる血中代謝物質の濃度の増加は、再灌流後早期に濃度上昇を認め、またその増加は現在早期腎不全マーカーといわれている尿中KIM-1の増加よりも早期に認めた。一方、血清クレアチニンは測定した術中には濃度変化を認めなかった。また以上の組織障害時に血中代謝物質が上昇するというデータを踏まえ、慢性的に血中tRNA由来物質濃度や代謝物質濃度が高い人は酸化ストレスや組織障害が存在しており予後が悪いのではないかという仮説を考えた。この仮説を検証するため一般住民1100人を対象とした大迫地域(現岩手県花巻市)のコホート研究調査において採取した血液の血清中m1A濃度を測定し、予後との関係について検討した。その結果、代謝物のなかでm1A血中濃度が高い一般住民7年後には血圧や腎機能、 その他の要因に関係なく死亡率が約7倍も高い事が確認され、m1Aは生命予後のマーカーでもあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定系の構築と実際の臨床のサンプルを用いて病態解明と大規模臨床コホートによる生存率の関連を明らかにすることができた
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Strategy for Future Research Activity |
申請者グループはDNA配列解析装置である次世代シークエンサーを用いて、ゲノムのなかの全エクソ約30,000個の遺伝子をすべて解析する「全エクソーム解析」をネフロン癆の500家系において行った。 その結果腎不全の候補遺伝子としてSLC41A1の変異を見つけた。SLC41A1はこれまでマグネシウムイオンを運搬する輸送タンパク質ということは知られていたが、 実際のヒトの体の中においてどのような働きを担っているかは不明であった。またSLC41A1遺伝子の変異形式はゲノムの点変異によりmRNAのサイズが短くなるエクソンスキッピングであった。エクソンスキッピングはゲノム遺伝子の配列を調べるだけではmRNAが短くなっているかどうか分からない。そこで我々はSLC41A1欠損患者のリンパ球をEBウイルスで不死化して大量にin vitroで培養する系を隔離して病態解明を行う予定である。
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Research Products
(6 results)