2014 Fiscal Year Annual Research Report
クレアチン欠乏症治療を目指した変異クレアチントランスポーターの細胞局在機構の解明
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26293035
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大槻 純男 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60323036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 慎悟 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (20466535)
和田 敬仁 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70359727)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クレアチン / 脳関門 / 中枢疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先天性クレアチン欠乏症の治療を目指し、疾患原因となる変異型クレアチントランスポーター(CRT)の細胞内局在異常の分子機構を解明し、その分子機構の知見を基盤とし中枢クレアチン活性を回復する分子戦略を構築することを目的としている。平成26年度は、変異型CRT及び野生型CRTの安定発現細胞株を樹立し、解析を行った。その結果、変異による細胞膜から細胞内への局在の変化を再現し、さらに分画によって定量的に細胞内局在変化を明らかにした。また、Western blotによる分子量変化は糖鎖の変化によることを明らかにした。従って、細胞内局在変化には変異による糖鎖付加の変化が関わっていると考えられる。糖鎖付加部位と変異部位は一次構造ではかなり離れているが、立体構造予測から高次構造上、比較的近くに位置していることが予想される。患者由来繊維芽細胞でのCRT発現は微量であるため細胞膜画分を単離する必要がある。従来は多量の培養を必要とするためプロテオミクス解析が困難であった。そこで、細胞分画キットを改良し、10cm dish 1-2枚から細胞膜画分を単離する技術を構築した。次年度は本技術を用い定量プロテオミクスを実施予定である。また、マルチモードの逆相カラムを用い、クレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸を10分で高速定量するLC-MS定量系を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り順調に進んでいるが、一部、当初予想しない結果が得られたため、計画の修正を行った。当初、翻訳後修飾に関しては定量プロテオミクスによって解析を予定していたが、細胞分画のため多量の細胞を培養する必要が生じた。そこで、まず、糖鎖付加の変異であることを予想し、解析した結果、予想通りの結果が得られた。そこで、定量プロテオミクスではなく生化学的解析によって解析を推進することによって当初計画以上に分子機構解明が進行した。クレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸の定量系に関しては、カラムを工夫することによってラベル化を行わずに尿中のクレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸の定量に年度中間で成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的解析を継続するとともに、その結果を基盤として定量プロテオミクスを実施する。研究分担者から患者由来繊維芽細胞の提供をすでにうけ、培養を開始したため、これら細胞も定量プロテオミクスで解析することによってクレアチン供給以外の治療につながる分子機構についても探索を進めることを新たに計画している。
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Causes of Carryover |
旅費を圧縮し、人件費を別予算から支出したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、H27年度の初めに消耗品費として使用を計画している。
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