2014 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス・エネルギー代謝による社会行動の修飾:PrRP-オキシトシン仮説の検証
Project/Area Number |
26293049
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | オキシトシン / ストレス / PrRP |
Outline of Annual Research Achievements |
延髄PrRP産生ニューロン-視床下部オキシトシン産生ニューロン回路が存在すること見出してきた。本研究は、ストレス負荷、あるいは、エネルギー代謝負荷時における、この延髄プロラクチン放出ペプチド(PrRP)産生ニューロン-視床下部オキシトシン産生ニューロン系の働きを、齧歯動物モデルにおいて、明らかにすることである。本年度は、ストレス負荷のモデルを確立させ、この時のPrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン系の活動を検討した。 ストレス負荷としては、社会的な敗北刺激を用いた。この負荷では、攻撃的なオス動物に暴露させるという操作を行った。暴露された動物は、特徴的な敗北姿勢を示した。この時、延髄のPrRP産生ニューロンの神経活動が上昇していた。この動物においては、さらに、視床下部の一部のオキシトシン産生ニューロンの神経活動が増加していた。神経活動は、Fos蛋白質の発現を指標として検討した。社会的敗北時にオキシトシン産生ニューロンの活動が増加するというデータは、脳内において社会的敗北によりオキシトシンが放出されている可能性を示す。オキシトシは、オキシトシン受容体に作用すると考えられている。そこで、オキシトシン受容体を発現しているニューロンのうち、社会的な敗北刺激によってその神経活動が活動しているものがないかを検索した。その結果、視床下部のオキシトシン受容体産生ニューロンと中脳のオキシトシン受容体産生ニューロンの一部が、社会的な敗北刺激によりその神経活動を増加させることが見いだされた。さらに、これらの領域に、オキシトシン免疫陽性の線維があることを見出した。これらのデータは、社会的敗北刺激により、PrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン系が活性化されるという考えに矛盾しない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレス負荷モデルを確立し、このストレス負荷により延髄PrRP産生ニューロン、視床下部オキシトシン産生ニューロンが活性化されることを見出した。更に、オキシトシン産生ニューロンの下流についても候補部位を見出しており順調に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子改変動物を用いて、特異的PrRP産生ニューロンを破壊するための方法を確立させることを目指す。この新しい方法の確立は、その後の局所PrRP産生ニューロンの機能の解明のための強力な武器となると考えられる。
|
Research Products
(8 results)