2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体由来多能性幹細胞Muse細胞の発生学的起源の探索と組織恒常性維持における役割
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26293058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出沢 真理 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50272323)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の発見したMuse細胞は生体内の間葉系組織に散在性に存在する自然の多能生幹細胞で、腫瘍性を持たない。生体内へ投与されると組織修復をもたらす。一方約5億年前に出現した再生能の高いプラナリアも、間葉系組織に散在性に存在する多能性幹細胞'neoblast'を有する。申請者はヒトMuse細胞とneoblastの類似性に着眼しneoblast特異的抗体を足がかりに検討したところ、意外にもヒトMuse細胞とneoblastの間にRNA結合蛋白を中心とする共通の分子機構が存在し、しかも原始的生物から高等哺乳類まで保存されている可能性があることを示唆する結果を得た。本研究ではMuse細胞の発生学的起源を明らかにすると共に、プラナリアneoblastとヒトMuse細胞の共通性と相違点の検証から「生体内多能性幹細胞機構」および「組織恒常性維持機構」におけるヒトMuse細胞の機能に迫りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HsDj1が当初想定していたよりも複雑な構成で出来ていることが分かって来た。Exonが7つあること、転写開始点が複数存在すること、exon5はrepeat配列を持っていることなどが理由として挙げられる。このため、【ヒトMuse細胞とプラナリア多能性幹細胞との共通機構の探索】のテーマは進展がやや遅れている状況である。その他のテーマは概ね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
【Muse細胞の多能性の制御機構の解明】多能性の制御機構:一度も浮遊にせずに多能性がオンになったことの無い細胞と、浮遊状態において一度多能性をオンにしたもの、接着―浮遊―接着―浮遊を数回繰り返したもの、それぞれにおいて、神経(外胚葉)、骨・脂肪(中胚葉)、肝臓(内胚葉)への3胚葉分化誘導の有無、その効率を求め、多能性がどのように制御されているかを検証する。【Muse細胞の発生学的起源の探索】 H26年度で探索した遺伝子を元にトランスジェニックマウスを作製する。【各組織由来のMuse細胞の比較、および組織恒常性維持における役割】筋肉、肝臓、膵臓、脳膜などの臓器においてもMuse細胞が存在するかを調べ、さらにDNA microarray、定量PCR、mRNA発現プロファイルによって組織ごとの遺伝子発現の差、その発現パターンの違い等を調べる。組織恒常性維持との関連においては、NogあるいはSCIDマウスで劇症肝炎、糖尿病、脳梗塞、皮膚損傷などのモデルを作成し、骨髄由来のMuse細胞(GFP陽性)が組織再生と再建に寄与するかをレーザー共焦点顕微鏡、多光子レーザー顕微鏡などの組織学的方法を用いて探索する。【ヒトMuse細胞とプラナリア多能性幹細胞との共通機構の探索】1) HsDj2遺伝子配列の決定を行う。2) HsDj2の細胞内局在同定:HsDj2スプライシングバリアントを検出する抗体を作成し、組織中に置ける分布を調べる。
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Research Products
(32 results)