2015 Fiscal Year Annual Research Report
LIS1-細胞質ダイニンの分子ダイナミクスと滑脳症発症機構の解明
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26293066
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山田 雅巳 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (10322851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経細胞移動障害 / LIS1 / 細胞質ダイニン / 細胞内物質輸送 / mNUDC / 蛍光分子イメージング / クラスIIIベータ-チューブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、発生初期の神経細胞移動障害に起因する先天性神経疾患の一つである滑脳症発症機構の分子レベルでの解明とカルパイン阻害薬による治療薬の開発の両面からその治療戦略に挑む。研究代表者は、滑脳症の責任遺伝子産物LIS1の機能不全による細胞内物流(移動細胞内マシナリー)の攪乱・破綻に起因する神経細胞遊走の欠如の観点から、疾患発症に至る分子機構の解明を目指してきた。一方で、LIS1がタンパク質分解酵素の一つであるカルパインによって分解されることを独自に発見し、カルパイン阻害薬による滑脳症治療薬の開発を行ってきた。本研究期間内に於いては、蛍光分子イメージングの先端技術を駆使し、LIS1-細胞質ダイニンをインビトロおよび神経細胞内で可視化して微小管上での分子動態を観察・解析することにより、これらの細胞内ロジスティクスあるいは分子ダイナミクスを明らかにすることで、LIS1機能不全が如何にして滑脳症発症に繋がるのかを分子レベルで解明することを目指す。平成27年度に於いては、LIS1-細胞質ダイニンを含む輸送複合体の形成に関与し、LIS1機能に関与することが示唆されるいくつかの候補因子を同定した。とりわけ、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の原因因子として知られているアルファ-シヌクレインとLIS1-細胞質ダイニンを含む順行性輸送複合体の土台となる微小管フラグメント(transportable microtubule: tMT)の構成因子でもあるクラスIIIベータ-チューブリンとの関係が示唆されたことは、平成28年度以降の本研究課題の展開が大いに期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に於いては、LIS1-細胞質ダイニンを含む順行性輸送複合体の土台となる微小管フラグメント(transportable microtubule: tMT)の構成因子でもあるクラスIIIベータ-チューブリンに対する特異的なマウスモノクローナル抗体のTuj1を用いた免疫沈降実験により、アルファ-シヌクレインが共沈することを質量分析(MS/MS)などの手法を用いて確認することができた。アルファ-シヌクレインは、パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の原因因子として知られていることから、これまでに私たちが明らかにしてきたLIS1-細胞質ダイニンを含む順行性輸送複合体、特にその土台となる微小管フラグメント(transportable microtubule: tMT)の形成過程に於ける役割を今後明らかにしたい。平成27年度に於いて、本研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに私たちは、LIS1が神経細胞内に於いて荷台となる微小管フラグメント上に細胞質ダイニンを可逆的に固定することで輸送複合体を形成し、キネシンのCargoとしてレールとなる微小管上を順行性にプラス端へと輸送されることを明らかにした。これより、LIS1は、本来ならば、微小管マイナス端への逆行性の物質輸送を制御する細胞質ダイニンを微小管プラス端へとリサイクルする役割を果たすと考えられる。今回、私たちは、前述の荷台となる微小管フラグメントを構成する神経特異的クラスIIIベータ-チューブリンとの結合因子として、パーキンソン病などの神経変性疾患に特徴的な構造体であるレビー小体を構成するアルファ-シヌクレインを質量分析法により同定した。 平成28年度本研究課題に於いては、LIS1/細胞質ダイニン/(荷台となる)微小管フラグメントを含む順行性の輸送複合体の形成(あるいは、この微小管フラグメントそのものの形成)に於けるアルファ-シヌクレインの役割を明らかにする。まずは、その一環として、アルファ-シヌクレインとLIS1/細胞質ダイニン/(荷台となる)微小管フラグメントを含む順行性の輸送複合体の神経細胞内に於ける分子動態を直接観察する。具体的には、まず、ピペットチップ型電極による電気穿孔法にて、幼若マウス由来の後根神経節細胞内に上記の遺伝子を高効率で導入することを試みる。この際、高速(切り替え)フィルターホイールを要する蛍光顕微鏡システムでのライブセル・イメージングにより、mTurquoise(mTQ)、mNeonGreen(mNG)、mCherryの異なる3波長領域の蛍光タンパク質で標識した融合タンパクとして発現させた上記の因子の神経細胞内に於ける分子動態を解析する。さらに、ホルマリン固定後の同神経細胞を対象として、超解像蛍光顕微鏡を用いて、これらの輸送複合体構成因子の詳細なる解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、大阪市立大学医学部から福井大学医学部に所属変更になったことによる超解像蛍光顕微鏡画像データ解析用の物品(液晶ディスプレイ)を次年度以降に調達する必要性があるため(福井大学医学部に設置予定)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
神経細胞内の分子動態の詳細なる解析のために、超解像蛍光顕微鏡により取得したデータ用の画像解析用大型モニターにより、微小管上での複数の分子の挙動の一致あるいは分子間結合など細胞内での分子ダイナミクスを解析する。
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Research Products
(10 results)