2016 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌の上皮間葉転換におけるエピジェネティックス異常とリプログラミング機構の解析
Project/Area Number |
26293080
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仁木 利郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90198424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 大祐 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80415554)
吉本 多一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (20634166)
佐久間 裕司 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10364514)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺癌 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、上皮形質の低下した低分化な非小細胞肺癌においてクロマチンリモデリング因子BRM, BRG1の発現低下が高頻度にみられることを明らかにした。さらにレンチウィルスベクターを用いてBRM, BRG1のノックダウンを行ったところ、肺腺癌細胞H1975では、BRMのノックダウンにより1)多角形の上皮様の形態から紡錘形の肉腫様細胞へと形態変化が誘導されること、2)E-cadherinの低下、Vimentinの誘導など上皮間葉転換 (EMT)の形質が誘導されていることも確認してきた。 本年度の実績は、以下のとおりである。 A)様々な培養条件下での増殖能を検討した。その結果、BRMをノックダウンしたH1975細胞では、1) 血清依存性が低下すること、2) 接着阻害の喪失がみられること、3) 足場非依存性の増殖能が増すことが判明した。 B)近年、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、ブロモドメイン阻害剤、リジンメチル基転移酵素阻害剤、リジン脱メチル化酵素阻害剤など、さまざまなヒストン修飾酵素の阻害剤が開発されている。そこでこれらエピジェネティク阻害剤ならびにシスプラチン, ゲムシタビン, タキソール, 塩酸イリノテカンなどの化学療法剤への感受性を検討した。その結果、BRMをノックダウンしたH1975細胞では、1) ヒストン脱アセチル化阻害剤への感受性が増すこと、2) ゲムシタビンへの感受性が低下することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BRMのノックダウンによりEMT形質が誘導されることに加え、増殖能や薬剤感受性の違いが誘導される点をさらに明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
BRMのノックダウンにより上皮間葉転換(EMT)が誘導される分子機構にせまるため、E-cadherin, ZEB1, mir200などEMTの中心的な遺伝子のプロモーター領域のメチル化、ヒストン修飾について検討を行う。
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Causes of Carryover |
E-cadherin, ZEB1のプロモーター領域のメチル化、ヒストン修飾の解析、さらにBRMの発現ベクターの作成とその導入効果の検討を行う予定であったが、予想以上に条件検討に時間を要しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
shRNAによりBRMをノックダウンした細胞はすでに準備できている。プロモーター領域のメチル化、ヒストン修飾の解析については、それぞれpyrosequencing法, CHIP法と定量的RT-PCRにより行い予定である。BRMの発現ベクターの作成については、PCR primerを再設定して検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Fibroblastic foci, covered with alveolar epithelia exhibiting epithelial-mesenchymal transition, destroy alveolar septa by disrupting blood flow in idiopathic pulmonary fibrosis.2017
Author(s)
Yamaguchi M, Hirai S, Tanaka Y, Sumi T, Miyajima M, Mishina T, Yamada G, Otsuka M, Hasegawa T, Kojima T, Niki T, Watanabe A, Takahashi H, Sakuma Y.
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Journal Title
Laboratory Investigation
Volume: 97
Pages: 232-242
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Loss of YAP1 defines neuroendocrine differentiation of lung tumors.2016
Author(s)
Ito T, Matsubara D, Tanaka I, Makiya K, Tanei ZI, Kumagai Y, Shiu SJ, Nakaoka HJ, Ishikawa S, Isagawa T, Morikawa T, Shinozaki-Ushiku A, Goto Y, Nakano T, Tsuchiya T, Tsubochi H, Komura D, Aburatani H, Dobashi Y, Nakajima J, Endo S, Fukayama M, Sekido Y, Niki T, Murakami Y.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 107
Pages: 1527-1538
DOI
Peer Reviewed
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