Identification of drug resistance gene using Plasmodium artificial chromosome

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26293091
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 岩永 史朗 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314510)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 感染症 / マラリア

Outline of Annual Research Achievements

本研究では独自に開発したマラリア原虫人工染色体を利用した手法により新規耐性遺伝子を同定し、薬剤耐性原虫対策に貢献することを目的とする。現在までにクロロキン耐性原虫（Dd２株）より人工染色体遺伝子ライブラリーを構築後、既知の耐性遺伝子（PfCRT：第７番染色体）以外に第3番・第５番・第１４番染色体上にクロロキン耐性に関与する遺伝子領域があることを示唆する結果を得ている。そこで平成２６年度は新規クロロキン耐性遺伝子を同定することを目的とし、これらの遺伝子領域上の遺伝子について耐性への関与を調べた。その結果、第３番染色体上の遺伝子がクロロキン耐性を付与することが明らかとなった。同定した遺伝子（PF3D7_0311700）は蛋白質分解酵素であり、ヘモグロビン分解に関与するものであった。クロロキンの薬理活性はヘモグロビンの分解により生じるヘムの無毒化阻害によるものであり、同定した酵素の耐性への関与との関連性が強く示唆された。一方、既に獲得しているマラリア流行地患者血液由来マラリア原虫についてクロロキン耐性について検討した結果、Dd2株よりも著しく強い耐性を示す原虫株を得た。これらはDd２株と同じく変異PfCRT遺伝子を有しているため新たな機構により強耐性を獲得していることが示唆された。そこで同株についても人工染色体による遺伝子ライブラリーを作製した。現在、薬剤スクリーニングを実施し、耐性遺伝子同定を進めている。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度には計画通りに既に同定したクロロキン耐性遺伝子候補群（第3番・第５番・第１４番染色体由来）から第３番染色体上の遺伝子が実際に耐性を付与することを証明した。また、新規に患者血液由来株よりクロロキン強耐性株の獲得に成功し、更なるクロロキン耐性機構解明に向けた重要な研究試料を得ることに成功した。よって研究は概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

当該年度までの研究成果より我々が開発したマラリア原虫人工染色体による手法が新規薬剤耐性遺伝子の同定に有効であることが示唆された。よって今後は当初の計画通り、クロロキン耐性原虫だけではなく、その他の抗マラリア薬に対する耐性原虫（メフロキン耐性・ルメファントリン耐性等）に対して研究を展開し、耐性遺伝子を同定する。これらについて耐性遺伝子が同定された場合は現在、同定済みのクロロキン耐性遺伝子との間で変異・発現量等に関する比較を進め、耐性機構に関する情報を得る。また、新たな耐性機構に関する情報を得るために強耐性の原虫を獲得することが研究推進に効果的であると考えている。つまり薬剤耐性遺伝子同定法を完全に確立したため、強耐性原虫を獲得すれば新たな耐性機構に関する情報を迅速に得られる可能性が有る。よって当初計画には予定していなかったがこの点についても今後、研究を進めていく計画である。

Causes of Carryover

当該年度１０月１日より新規に博士後期課程学生が研究に参加した。そこで研究基盤の拡張を目的とし、安全キャビネットを購入することを検討した。最終的に年度末に機器選定を終了し、購入手続きを開始したが、安全キャビネットが受注後生産の機器であったため納入が年度を越えることが判明した。よって当該年度内での購入を見送った結果、安全キャビネットに相当する金額の未使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成２７年度前半（４月~５月）に安全キャビネットを購入し、当該年度の未使用予算を執行することを計画する。