2014 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアべん毛輸送装置のエネルギー変換システムの分子基盤
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26293097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細菌 / 遺伝学 / 蛋白質 / 一分子計測(SMD) / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光学顕微ナノ計測装置を活用し、遺伝的および生化学的手法を組み合わせることで、ATPおよび細胞膜を横切るイオン駆動力を動力源とするべん毛蛋白質輸送装置のエネルギー変換の分子機構の解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 1.YFP1分子の蛍光を十分に計測できる高感度の蛍光顕微鏡を用いてべん毛基部に局在しているFliI-YFPの数を見積もった結果、6分子以上のFliI-YFPがべん毛基部体のCリングおよび輸送ゲートプラットフォームに結合していた。FliI-YFPはATPに依存せずに1分間あたり約6回程度離合集散を繰り返していた。 2.FliIの触媒部位に存在するGlu-211残基はATPの加水分解反応に直接関与する。E211Q変異体およびE211D変異体を用いて機能解析を行った結果、輸送装置はATPの消費を最小限に押さえながら、プロトン駆動力の膜電位成分のみを使って高速にかつ高効率に動く輸送エンジンであることが示唆された。 3.輸送ゲート複合体を構成する膜蛋白質FliO, FliP, FliQ, FliRを同時に大量発現できるプラスミドを作製し、それら4種類の膜蛋白質の大量発現に成功した。現在、可溶化の条件を検討している。 4.サルモネラ内でFlhAを大量発現させると、培地中に100 mM NaClが存在すると細胞内Na+濃度が顕著に増加したが、培地中にNaClが存在しない場合には細胞内Na+濃度の上昇は見られなかった。このことから、FlhAがNa+チャネルとして働いていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FlhAがNa+チャネル活性を持つことを示すことができたとともに、他の輸送ゲート構成蛋白質の大量発現系の構築に成功した。さらに一分子蛍光イメージング法により、FliI-YFPのin vivoでのダイナミクスの計測に成功した。一方で、光架橋実験によって輸送基質蛋白質を直接認識している蛋白質の同定を試みたが、未だ成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
FliO/FliP/FliQ/FliR複合体を単離精製してリポソームに再構成して機能構造解析を実施する。さらに、FlhAを単離精製しリポソームに再構成することにより、FlhAのNa+チャネル活性を生化学的に検証する。
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Causes of Carryover |
週20時間勤務できる研究協力者1名を雇用する予定であったが、実際雇用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度4月より雇用した特別研究員の謝金の一部にあてる予定である。
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Research Products
(15 results)