2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26293102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞 / 複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)は、約80種類と多くのウイルス因子をコードしている。これらウイルス因子群の総和として引き起こされるHSVの増殖や病原発現のメカニズムを解明するためには、全てのウイルス因子の機能を統一的に解析し、それらの解析で得られる知見を体系的に統合し、理解することが必須である。本研究課題では、全てのHSV因子の機能発現機構の統合的理解を最終目標とし、その第一歩として、申請者が独自に構築してきた技術基盤を利用したHSV因子の多因子統一解析システムを構築することを目的とする。 本年度は、多くのHSV株の遺伝子解析から、最も保存されているウイルス遺伝子Us8Aに着目した。その高い保存性から、重要な機能が推測されていたが、ウイルス増殖や病態発現における役割は不明であった。我々は、まず、既に確立済みのHSV感染遺伝子クローンを用いたウイルス改変系を改良した。新たなHSV遺伝子クローンを単離し、クローンからウイルスの再構築時に大腸菌でのクローン維持のために挿入しているbacmidが除去される改変系を確立した。その結果、新しいクローンから再構築されたウイルスは、より野生体に近い病原性をマウスモデルにて呈することが明らかになった。また、Us8Aが末梢から中枢神経系への神経侵襲性に大きな役割を果たしており、その機能発現には、Us8Aのリン酸化が必須であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
改良された新たなHSV改変系を構築しただけでなく、確立した系を利用して、機能未知のウイルス因子が病原性発現に大きな役割を果たしていることを明らかにした。さらに、当該ウイルス因子のリン酸化部位をリン酸化プロテオームを利用して同定し、そのリン酸化が当該ウイルス因子を介するウイルス病態発現に必須であることを明らかにしている。この膨大なデーターをウイルス学において評価の高い国際学術専門誌であるJournal of Virologyに発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は極めて順調に進展しており、来年度も同様に研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
幾つかのHSV因子の新規機能解明を完了しつつあり、それらを論文として発表するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費、旅費、論文投稿費
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Research Products
(8 results)