2016 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス由来非コードRNAのプロセシング制御による新規腫瘍溶解性ウイルスの開発
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26293118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 文教 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70370939)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アデノウイルス / 非コードRNA / 腫瘍溶解性ウイルス / Dicer / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はVA-RNAがDicerの発現を抑制することでアデノウイルスの感染にどのような影響を及ぼすか検討を進めた。検討の結果、VA-RNAがDicerの発現を抑制することで宿主のmicroRNAの発現プロファイルに影響を及ぼすことが明らかとなった。特にmiR-27の発現が抑制されることが明らかとなった。そこでmiR-27がAd感染に及ぼす影響について検討したところ、miR-27はSNAP25およびTXN2を標的遺伝子とすること、VA-RNAはDicerの発現抑制を介してmiR-27の発現を抑制し、SNAP25およびTXN2の発現を回復させることでAdの感染を促進させることを明らかにした。またVA-RNAにはVA-RNA IとVA-RNA IIが存在するが、VA-RNA IIの機能については明らかとなっていないことから、VA-RNA IIの機能解析について検討を進めた。その結果、VA-RNA IIの機能について新たな知見を得ることに成功した。さらにVA-RNAによるアポトーシス遺伝子の発現誘導やDicerの発現抑制が他のウイルス感染(レオウイルスやヘルペスウイルス)に及ぼす影響についても検討を進めている。また上記検討のなかで、ウイルス感染により誘導される1型インターフェロンがDicerによるプロセシングが阻害されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
VA-RNAの機能ならびにDicerによるVA-RNAのプロセシングがアデノウイルス感染に及ぼす影響について多くの新たな知見を得ることに成功した(原著論文5報、学会発表5件)。さらにそれらの知見は、当初想定していなかった新たな発見につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
Dicerの発現抑制がウイルス感染に及ぼす影響や、VA-RNA IIの機能解析について検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
VA-RNA IIの機能解析について、想定していなかった新たな機能を示唆するデータを得たことから、その機能に関し、更に解析を進めたのち、論文としてまとめる予定である。またVA-RNAによる自然免疫応答について一部遂行できなかった実験があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
VA-RNA IIの機能解析について、VA-RNA IIのプロセシングによるmivaRNAIIがアデノウイルスの感染に及ぼす影響について検討をすすめる。具体的に化学合成したmivaRNAIIを培養細胞に導入したのちアデノウイルスを作用させ、その増殖について検討する。さらにmivaRNAIIが細胞の遺伝子発現に及ぼす影響について検討を進める。また様々な細胞種で上記の検討を行う。
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