2016 Fiscal Year Annual Research Report
重症薬疹のゲノムマーカー探索と病態学的関連性検証に基づく発症予測診断系の開発
Project/Area Number |
26293122
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 章博 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30425631)
中村 亮介 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 室長 (50333357)
高橋 幸利 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, 副院長 (70262764)
相原 道子 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90231753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
全国規模での症例収集ネットワーク等を通じて,スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)の患者試料収集を行った.これまでに解析対象とするラモトリギンに関して,総計で26検体を収集した.これらのSJS/TEN試料に関して、HLA解析およびゲノム網羅的遺伝子多型解析を行い,発症と関連するゲノムマーカーを探索した.HLA解析はHLA-A, -B, -C, -DRB1等を対象にプローブハイブリダイゼーション法にて,ゲノム網羅的な遺伝子多型解析は240万多型を測定しうるDNAチップにて解析し,対照は2800人以上の健常人情報を用いた.引き続き,HLA解析では,4種のHLA型において,多重性補正前に有意差が認められた.また,併用薬要因を加えた関連解析も併せて行い,有望な結果を得られつつある.網羅的解析では,引き続き,p<10-5を示す多型が7種認められた.今後,さらに試料数を増やして多重性補正後にも関連が有意なHLA型・遺伝子多型を絞り込むと共に,患者背景因子等の他の因子を含めて関連解析を行うことが必要である.また,関連性の検証解析の一環として,関連が認められたHLAクラスI分子へのラモトリギンの結合を検討する予定であるが,そのためHLA-B分子の可溶性蛋白質としての発現系構築を,バイオリアクターを用いて行い,高い収率・収量を得る方法を確立した.また相互作用測定のための条件検討も完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象とするラモトリギンに対して,SJS/TEN 26症例(その他の薬疹等8例)をこれまでに収集できており,また,遺伝子多型解析および関連解析も順調に遂行することができた.しかし,関連する遺伝子多型については,強く相関する多型が検出されず,ラモトリギンによる重症薬疹発症数自体が減少しているため,さらに期間を延長しての試料収集の継続が必要である.近隣国との連携により,関連候補情報の相互検証も行っており,さらにゲノム情報に加え患者背景を加えた解析も併せて行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
ラモトリギンは本邦におけるスティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症の被疑薬として,現在,最も発生数が多く,平成27年2月に重篤な皮膚障害に関する安全性速報が発出されるなど,現在最もバイオマーカーの確立が必要な医薬品である.多くの試料数を確保するため,引き続き国内外の関係機関に働きかけていく.
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Causes of Carryover |
ラモトリギンによる重症薬疹発症数自体が減少しているため,関連する遺伝子多型の同定には,さらに期間を延長しての試料収集の継続が必要であるため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試料収集(謝金),ゲノム解析に用いる.
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Research Products
(6 results)