2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26293131
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水村 和枝 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00109349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 徹 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 客員准教授 (90464156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遅発性筋痛 / 伸張性収縮 / 神経成長因子 / ATP / イメージング / 骨格筋 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋は収縮し運動を担うばかりでなく、運動に伴って神経成長因子(NGF)やグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)などの痛覚感作物質を産生する。逆に不動化によっても筋がNGFを産生し痛覚過敏を生じる。このような筋の性質は、筋性疼痛のメカニズムを理解するうえで重要であるが、筋の痛覚感作物質産生の初発機構は未解明である。そこで本研究では感作物質産生の収縮パターンによる違い、繰り返し運動負荷による筋痛の減弱メカニズム、NGF産生の引き金としてのブラジキニン受容体活性化以外の因子の解明を目指す。本年度は、遅発性筋痛のモデルを用い、NGFの産生をトリガーする初発段階であるATP放出に着目して、初発機構を明らかにすることを目指し、次のような結果を得た。①ATP遊離のライブイメージングシステムを、倒立顕微鏡から正立顕微鏡へと移し、再構築した。また、筋初代培養細胞でライブイメージングするためマウス筋の培養条件を検討し、十分の長さの筋線維をdishに張りつけることができるようになった。②遅発性筋痛は速筋で生じやすく、遅筋で生じにくいので、これらの筋の間にATPの遊離量に差があるかどうか調べた。その結果、速筋である長指伸筋と比べ、遅筋であるヒラメ筋は、伸張性収縮によるATP遊離量が少ないことがわかった。③伸張性収縮負荷により筋細胞の膜タンパクレベルで変化が生じると予測し、筋細胞質膜のWestern blotを行い、dystrophine, dysferlin, caveolin3などの発現変化を調べた。伸張性収縮負荷2日後、5日後の時点で、多少増大する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度辞職したポスドクの後任の雇用開始が遅れたのが一因である。また、EM-CCDカメラの冷却システム、通常のCCD-カメラのコントローラ、AxoPatchなど、機器の不調が相次ぎ、故障の確定と故障原因究明、その修理に手間取ったためになかなか実験ができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
収縮パターンによって感作物質産生が生じたり生じなかったりするメカニズムを以下の点から解明する。 1)培養筋細胞を用いてATPの筋からの遊離のライブイメージングを実施し、ATP放出機構の候補分子の関与を薬理的に調べる。また、培養筋細胞に収縮を負荷し、収縮パターン(伸張性、短縮性)により膜透過性の変化が生じるか、Evans Blue, 蛍光ビーズなどの透過の有無によって調べる。 2)間隔をおいて運動を繰り返すと感作物質産生が減弱し、逆に連日運動負荷すると感作物質産生が継続するメカニズムを以下の点から解析する。①膜透過性にかかわるたんぱく質(nephrin, podocin やpodocalyxin、aquaporineなど)の発現の変化をRT-PCR やWestern blotで調べる。②膜の裏打ち蛋白系(アクチン、デスミン等), 膜タンパク(dysferin, dystrophine,caveolin 3など)に変化がないか、RT-PCR やWestern blotで調べる。免疫組織化学も併用する。③ATP放出メカニズムにpannexin 1 等の関与の有無を薬理学的に調べる。またその発現変化をRT-PCR やWestern blotで明らかにする。 3)伸張性収縮後のNGF産生の引き金としてB2ブラジキニン受容体の活性化以外に必要な因子を明らかにする。Caイオンの可能性をさらに検討する。
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Causes of Carryover |
博士号を持つ研究支援者の雇用が12月まで遅れた(アルバイトの雇用だけで実施)ため、研究の進行が遅れ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
博士号を持つ研究支援者は昨年12月よりすでに雇用しており、研究に参画してもらっているので、28年度は研究を順調に進めることができると考えている。すでに研究設備は整っているので、遅れた分を取り戻すため、研究費の多くは人件費に当てることになる。
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Research Products
(9 results)