2017 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ小児甲状腺がんにおけるDNA修復関連遺伝子群の分子遺伝疫学研究
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26293142
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (50404215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
サエンコ ウラジミール 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (30343346)
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに次世代シークエンシングを行った56例のチェルノブイリ甲状腺癌症例、55例のコントロール(癌症例と同様に汚染地域に住んでいた同年齢の人々、癌の発症なし)のエクソームデータ、20例の甲状腺癌症例、10例のコントロールの全ゲノムデータについての解析を引き続き行った。 全ゲノム解析用のパイプラインは、エクソーム用を改変し、解析時間を短縮させるため、圧縮・解凍を一部行わないような設定としたが、基本的には同様のステップで行った。 本年度は、網羅的な解析を、common variantとrare variantに分けて行った。まず、12万のcommon variantについて解析を行ったが、これについては1000人ゲノムデータのヨーロッパ人をコントロールとして加えた。ロジスティック回帰解析で、deleterious mutation、p値が10E-5オーダー(最小9.3E-06)の変異を3つ同定できた。ただ、12万のvariantとはいえ、genome-wide significanceには到達できず、また得られた遺伝子について、機能的にも意味づけは難しそうである。 次に、rare variantについては、deleterious mutationについて、遺伝子ごとに変異を集積し、遺伝子長などを考慮に入れる解析を行った。p値が10E-3オーダー以下(最小9.1E-04)の遺伝子が8個確認され、その中で症例群に多いものが4つあった。その中で、腫瘍組織においてアポトーシスを制御している遺伝子もあり、興味深いものも見られている。 その他、遺伝子の機能を考慮する手法は、既存のgene setでGSEA解析を行ってみたが、優位な結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
いくつかの候補遺伝子は挙がってきたものの、あまり決定的なものは無く、想定していた責任遺伝子群を同定できておらず、機能解析まで行うことができなかった。しかし、利用するデータベースの拡充、全ゲノム解析等により、解析能力は向上させることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソン部位以外のゲノムデータベースの活用、機能関連データベースの活用、構造異常検出ツールの導入を引き続き進め、解析精度を向上させる。
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Causes of Carryover |
機能解析まで研究が進まなかったことによる。次年度は候補遺伝子群の同定を目指して、解析症例の追加、新たな解析手法の導入のための研究打ち合わせ、学会・研究会参加を行っていく計画である。
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[Presentation] 福島の小児および思春期の甲状腺乳頭癌における新規融合癌遺伝子の同定2017
Author(s)
井山慶大, 光武範吏, 松瀬美智子, タチアナ ログノビッチ, ウラジミール サエンコ, 鈴木啓司, 芦澤 舞, 大河内千代, 鈴木 聡, 水沼 廣, 福島俊彦, 鈴木眞一, 山下俊一
Organizer
第90回 日本内分泌学会学術総会
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