2014 Fiscal Year Annual Research Report
魚摂取によるメチル水銀ばく露と不飽和脂肪酸摂取のリスク・ベネフィット解析
Project/Area Number |
26293146
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲井 邦彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
龍田 希 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40547709)
木村 ふみ子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50321980)
上野 大介 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60423604)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 社会医学 / 環境 / コホート / 有害化学物質 / 不飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚介類摂取は、メチル水銀やPCBなどの化学物質の曝露を伴うとともに、オメガ3脂肪酸の摂取に重要な役割を有しており、魚介類摂取のリスクとベネフィットの統合的評価が必要である。このため環境省が進めている「こどもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に追加して出生コホート調査を実施し、子どもたちの成長と発達と、化学物質曝露およびオメガ3脂肪酸摂取との関係を明らかにする疫学調査を進めた。本年度は生後7および24ヶ月の成長と発達を新版K式発達検査により観察するとともに、交絡要因として考えられるオメガ3脂肪酸の代謝に関わるゲノム解析の同意取得を行った。メチル水銀の曝露評価は母親毛髪総水銀を指標としてすでに解析済みであり、PCBなどの化学物質もエコチル調査で分析される結果を利用する計画である。出生コホートは次年度も継続医のため、まだ化学物質と子どもの成長と発達に関する統計解析は実施していないものの、これまでに母親末梢血、臍帯血の赤血球オメガ3脂肪酸のレベルと、出生体重および在胎期間との関連性を検討し、日本人でもオメガ3脂肪酸のレベルが増加すると在胎期間が延長することを示すことができ、オメガ3脂肪酸の栄養学的な意義の一つと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、a) コホート調査の実施とコホート確立(エコチル調査との連携)、b) 生後7および24ヶ月における発達検査の実施、c) 曝露指標の実施、d) 脂肪酸代謝に関するゲノム解析の同意取得、e) 母乳試料の解析と脂肪酸分析、などを目標として取り組んできた。対象児の全てで7ヶ月調査を終了し、成長とともに24ヶ月調査を開始した。曝露指標の解析も終了しており、調査計画に従って順調に進展していると判断された。一方で、曝露指標と児の発達指標との統計解析を今後実施する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象児の成長に合わせて、引続きコホート調査を進め、特に生後36ヶ月でのフォローアップ(主に知能検査)を平成27年夏より開始する。また、ゲノム解析の同意が得られた方でのゲノム解析を開始するとともに、その解析結果の報告を希望する養育者に、結果報告を準備する。その際に、ゲノム情報に加え、オメガ3脂肪酸の栄養学的利点、化学物質曝露のリスクについても合わせてコミュニケーションを試みることが重要と考え、そのためのコンテンツ作りを目指す。
|
Causes of Carryover |
疫学調査を進めるためのリサートコーディネーター(RC)の雇用を計画していたが、同じ地域にて有機リン系農薬曝露に関する疫学調査がエコチル調査との連携で始まることとなり、RC人件費の支出を控え、本研究分は研究者自身が研究事務を担当することで調査を実施することができた。また、脂肪酸代謝に関するゲノム解析について、解析の同意書がまとまるのを待っていたため、ゲノム解析に関わる消耗品の支出が次年度繰り越しとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ゲノム解析の分析を次年度の当初から開始する。RC人件費については、調査地での支出は本年度も軽微となるが、一方でゲノム解析などの分析のため雇用を計画する。また、ゲノム解析の結果は、希望する調査協力者に報告する計画であり、そのコミュニケーションに関わる経費(専門家の招聘、調査地現地での報告会開催やそのためのコンテンツ作成)として支出する。
|
Research Products
(2 results)