2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム改変型ヒト多能性幹細胞を用いた肝炎ウイルス感染・複製機構の解明
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26293178
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
紙谷 聡英 東海大学, 医学部, 准教授 (30321904)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウイルス / 再生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
HBVは肝細胞膜表面のNtcpなどに結合し、cccDNA形成等を通じて感染性ウイルスを再放出する(Yan et al., 2012等)。HBVの感染・複製を試験管内で再現・解析するためにHBV受容体を強制発現させたヒト肝癌細胞株などが使用されるが(Ni et al., 2014等)、肝癌由来のためインターフェロン反応性等が低い。また、ヒト多能性幹細胞から肝細胞を誘導したHBV感染系があるが(Shlomai et al., 2014)、Primaryヒト肝細胞に比して感染性が低い。複雑なHBV生活環を理解した新たな創薬のために、より高効率で生体を反映した感染・培養系の構築が求められる。 代表者の紙谷は、肝前駆細胞成熟化の解析(Kamiya et al., 1999, 2002)や肝前駆細胞の純化・増殖法の同定(Kamiya et al., 2009, 2015)など行った。その成果から、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞の純化・肝分化誘導系を構築した(Yanagida et al., 2013等)。iPS細胞由来肝前駆細胞は増殖性が高く成熟細胞様分化が可能な一方で、NtcpなどのHBV受容体発現が低い問題点がある。そこでNtcpを誘導可能なヒトiPS細胞由来肝細胞を作製した。ヒトiPS細胞に PiggyBacトランスポゾンを用いて候補遺伝子を組み込むことで、薬剤誘導的に目的遺伝子の強制発現を可能な系が構築できる。また、サイトカインの連続添加により肝前駆細胞・成熟肝細胞へと分化誘導可能である。ドキシサイクリンを培養系に添加することで、組み込んだ候補遺伝子の発現を誘導する。本年度の研究成果としてHBV を産生するHepAD38 細胞株上清よりウイルス粒子を回収し、肝前駆細胞・成熟肝細胞に添加することで、Ntcpの強制発現がHBV感染能を向上させることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、iPS細胞にNtcp(HBVのターゲット受容体)を薬剤依存的に発現させるようなベクターを導入し、肝前駆細胞への分化誘導を行った。その結果、Ntcpの発現を誘導することでHBVへの感染性が向上することがわかり、ヒトiPS細胞を用いた肝炎ウイルス感染実験系の構築が予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Ntcp受容体の強制発現によってヒトiPS細胞由来肝前駆細胞のHBV感染能力が上昇することが分かった。そこで今後の研究として、Ntcp受容体の変異体を導入し、受容体のどの部分がHBV感染に重要であるかなどを探索する。
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Causes of Carryover |
本研究計画を遂行するうえで必要な新規iPS細胞株の作製が一部予定より遅れており、次年度にその培養等を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒトiPS細胞の培養や肝前駆細胞への分化誘導の消耗品として用いる
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Liver maturation deficiency in p57Kip2-/- mice occurs in a hepatocytic p57Kip2 expression-independent manner.2015
Author(s)
Yanagida A, Chikada H, Ito K, Umino A, Kato-Itoh M, Yamazaki Y, Sato H, Kobayashi T, Yamaguchi T, Nakayama KI, Nakauchi H, Kamiya A
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Journal Title
Developmental Biology
Volume: 407
Pages: 331-343
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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