2015 Fiscal Year Annual Research Report
Insulin/IGFの協調作用を介した心機能調節機構の解明
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26293194
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
塩島 一朗 関西医科大学, 医学部, 教授 (90376377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心機能 / インスリン / IGF |
Outline of Annual Research Achievements |
Insulin/IGFシグナルは細胞増殖・糖代謝などを制御するシグナル伝達系である。最近我々は、心筋特異的にInsulin受容体(IR)もしくはIGF受容体(IGFR)を個別にノックアウトしたマウスでは心機能が保持されているにもかかわらず、両者をノックアウトすると著明な心機能低下をきたすことを見出した。この結果はInsulinシグナルとIGFシグナルが協調的に心機能を調節していることを示唆するものと考えられる。そこで本研究では、以下の4点について検討し、Insulin/IGFの協調作用を介した心機能調節機構を明らかにすることを目的とする。(1) Insulin/IGFシグナルの心機能調節における相補性および相対的な重要度を明らかにする:(2) IR/IGFR DKOマウスの心筋内シグナル伝達の変化を明らかにする:(3) IR/IGFR DKOマウスの心筋内エネルギー産生系の変化を明らかにする:(4) Insulin/IGFシグナルの相補性と心筋収縮に及ぼす影響を単離心筋細胞を用いて明らかにする
本年度は IR/IGFR DKOマウスの表現型についてさらに詳細な検討をおこなうとともに、(2)(3)について検討した。IR/IGFR DKOマウスでは心筋細胞cross sectional areaの著名な減少と間質の線維化がみられ、Insulin/IGFシグナルが心筋細胞サイズの維持に機能していることが明らかになった。また、間質にMac3陽性Ly-6G陰性の単核球の著名な浸潤がみられ、マクロファージを介した炎症機構がこのような重篤な表現型に寄与していることが考えられた。細胞内シグナル伝達においては、PI3K-Akt-mTOR経路の活性が減少していることが示唆された。また、エネルギー産生系については脂肪酸代謝に関与する酵素の発現が一部低下している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は上記 (2)(3)について検討する予定であったが、preliminaryではあるものの興味あるデータが得られた。また、IR/IGFR DKOマウスの表現型解析においても興味ある結果を得ることができた。今年度の目的はおおむね達成できたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は上記(3)(4)について検討していく。また、前年度に引き続きインスリンとIGFの機能的相補性のメカニズムや、IR/IGFR DKOマウスで心機能が低下する原因について解析を進めたい。
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