2015 Fiscal Year Annual Research Report
アノイキス抵抗性に基づいた網羅的な肺癌ドライバー遺伝子特定の研究
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26293197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70467281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 征史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00378077)
長谷 哲成 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30621635)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アノイキス / プールshRNAライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は応募者開発の正常ヒト気管支上皮細胞発癌モデル(HBEC)を用い、アノイキス抵抗性に基づいた網羅的な腫瘍抑制ドライバー遺伝子の特定を目的とする。アノイキスは細胞外マトリックスへの接着を失った細胞におこるアポトーシスであり、アノイキス抵抗性は代表的な癌細胞の悪性形質である。2014年度において、日本人から採取した不死化正常気道上皮を対象として、網羅的遺伝子ノックダウンを行う前の準備実験として、cdK4とhTERTの導入によりすでに不死化済みのHBEC細胞を用いて網羅的遺伝子ノックダウンを行った。まず、HBEC細胞を前癌状態に導くために、HBEC細胞に変異KRASを導入した。次に、プールshRNAライブラリーによる網羅的ノックダウンを行った。5,000 遺伝子ずつのプールとして提供された2つのプールRNA 干渉レンチウイルスプールをウイルスパッケージングベクターミックスと一緒にヒト胎生腎細胞株293T 細胞に一緒にトランスフェクションし、レンチウイルス粒子を作成した。ウイルスタイタ―を測定し、十分なタイタ―のウイルスが得られている事を確認した。 2015年度は、アノイキス抵抗性KRAS導入HBEC細胞を回収し、次世代シークエンサーにて定量した。コントロールと比較し、2次元培養にてshRNA定量に有意な差がなく、かつ、アノイキス条件において、shRNA定量が有意に増加した遺伝子を、ドライバー候補遺伝子として特定した。次に、候補遺伝子の遺伝子発現、コピー数を共同研究者であるテキサス大学 Minna研究室から提供された網羅的遺伝子発現、コピー数解析データ、および、一般公開データーベースを用いて調べることによって、より、ドライバー遺伝子である可能性の高い遺伝子を絞り込んだ。現在は、それらの遺伝子の、アノイキス抵抗性を個別ノックダウンを行うことにより、確認実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プールRNA 干渉レンチウイルスライブラリーにより、網羅的遺伝子ノックダウンによってアノイキス抵抗性に関与するドライバー候補遺伝子を特定した。さらに、網羅的発現、遺伝子コピーデーターベースとの照合を行い、より有望な候補遺伝子を絞り込んだ。さらに、それらの遺伝子のアノイキス抵抗性への関与を確認するための実験をおこなっている。このように、順調に遺伝子特定が進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アノイキス抵抗性に関与すると特定された遺伝子の肺癌の進展、とくに、転移能への寄与を量子ドットバイオイメージング等を使用して解析していく。また、今後は、研究計画にあるように性別、喫煙歴、年齢の異なる日本人から採取した正常気道上皮を不死化し、アノイキス抵抗性に寄与するドライバー候補遺伝子の普遍性を評価委する。これにより人種差等の背景因子が癌化に与える影響についても明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)