2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26293214
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
西野 一三 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第一部, 部長 (00332388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 悟 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第一部, 室長 (00370982)
西川 敦子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第一部, 流動研究員 (70737262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝病 / 骨格筋 / 治療 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅵ型コラーゲンは、間質のⅠ型コラーゲン線維と細胞周囲の基底膜を連絡する分子であり、その遺伝子変異により重篤な先天性筋ジストロフィーが引き起こされる。本申請研究では未だ治療法のないⅥ型コラーゲン欠損型筋ジストロフィーについて、モデルマウスを用いて病態を明らかにし、治療法を開発することを目的とする。 本年度は、Ⅵ型コラーゲンノックアウト(Col6a1KO)マウスの骨格筋病態パラメーターの測定、2) Col6a1KOマウスでの代謝異常の解析、3) 優性遺伝型VI型コラーゲン欠損モデル(Col6a1IFD)マウスの作製、4) 骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の同定とモデルマウス骨格筋における動態解析、5)骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の培養実験を行った。 その結果、Col6a1KOマウスは生後すぐから筋量低下および筋力低下を示すものの、進行性ではなかった。主に単収縮が低下し、強縮力は維持していた。筋病理変化では、筋壊死/再生はむしろ少なく、筋の大小不同と線維化が顕著であった。これらの結果は、ヒト患者の骨格筋症状をよく再現しており、モデルマウスとして利用しうることを示した。さらに、骨格筋に存在する間質前駆細胞が確かに骨格筋でのⅥ型コラーゲン発現細胞であることを確認し、Col6a1KOマウスでは発現していないことを見いだした。また、この細胞は10週齢以降のCol6a1KOマウス骨格筋では顕著に増加していること、形態が著しく変化していることを見いだした。この結果から、骨格筋に存在する間質前駆細胞がCol6a1KOマウスの骨格筋病態に深く関与している可能性が考えられた。さらに、Col6a1遺伝子の3-9アミノ酸欠失をもつマウスを作製し、このマウスはヘテロ接合においても骨格筋の筋力低下を示すこと(優性遺伝型VI型コラーゲン欠損モデルとなりうること)を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画では、1) Col6a1KOマウスでの骨格筋病態パラメーターの測定、2) Col6a1KOマウスでの代謝異常の病態への関連性解析、3) Col6a1IFDマウスの作製、4) 骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の同定とモデルマウス骨格筋における動態解析、5) Col6a1KOマウスに対する細胞外マトリックスタンパク質補充治療実験、を予定していたが、1) Col6a1KOマウスでの骨格筋病態パラメーターの測定、3) Col6a1IFDマウスの作製、4) 骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の同定とモデルマウス骨格筋における動態解析、5) Col6a1KOマウスに対する細胞外マトリックスタンパク質補充治療実験については、計画どおり、または計画以上の興味深い結果が得られた。 Col6a1KOマウスでの骨格筋病態パラメーターの測定が予想以上に進んだため、骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞のマーキングのためのプロモーターの解析は、来年以降に行うことにした。2) Col6a1KOマウスでの代謝異常の病態への関連性解析では、Col6a1KOマウスにおける血糖値上昇とグルコース負荷試験における血統値が減少しないことを認めたため、食餌による負荷試験を延期した。5) Col6a1KOマウスに対する細胞外マトリックスタンパク質補充治療実験は、現在も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を踏まえて、 優性遺伝型VI型コラーゲン欠損モデル(Col6a1IFD)マウスの病態解析とともに、 Col6a1KOマウスを用いた治療法開発を目論んだ研究に重点をおいて解析していく。 1) 骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の同定およびモデルマウス骨格筋における動態解析とin vitro薬物スクリーニングーCol6a1エンハンサー/プロモーターの解析とそれを応用したCol6a1エンハンサー/プロモーターーレポーター遺伝子のTgマウスの作製を行う。このマウスをCol6a1KOマウスと掛け合わせることで、モデルマウスにおける骨格筋内Ⅵ型コラーゲン発現細胞の動態を行う。また、この掛け合わせマウスから、単離した間質前駆細胞を用いて、レポーター遺伝子発現を亢進させる、または細胞の増殖を制御する薬剤スクリーニングを行う。 2) Col6a1KOマウスでの代謝異常の病態への関連性解析ー通常餌に加えて、糖含量の異なる餌を与えることで、 Col6a1KOマウスの代謝変化と骨格筋表現型を解析する。 3)Col6a1KOマウスに対する細胞外マトリックスタンパク質補充治療実験ー前年に引き続き、マウスの表現型回復を解析する。 4)Col6a1IFDマウスの病態解析と遺伝子治療実験ーこれまでに確立したCol6a1KOマウスでの表現型解析パラメーター測定法を用いて、Col6a1IFDマウスの表現を測定。また、変異Col6a1の発現を低下させうるsiRNAをデザインし、U6プロモーター下にてshRNAを発現するレトロウイルスを作製し、Col6a1IFDマウス線維芽細胞、間質前駆細胞でのノックダウン効果、正常遺伝子発現を解析する。
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Research Products
(2 results)