2014 Fiscal Year Annual Research Report
ダルナビル等に対するHIV高度耐性の分子力学的解析と新規プロテアーゼ阻害剤開発
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26293239
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
満屋 裕明 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20136724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HIV-1 / 薬剤開発 / プロテアーゼ阻害剤 / 薬剤耐性メカニズム / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度までに、HIV-1野生株由来のプロテアーゼ(PR)だけでなくdarunavir (DRV) 耐性プロテアーゼ (PRDRVRs) に対して阻害効果を発揮する化合物GRL-015, -085の同定とその相互作用の解析に成功していた。平成26年度は、米国Purdue大学のArun Ghosh教授と協同してPRDRVRsに対して阻害効果を発揮する新規化合物GRL-120, KU-241の同定に成功した。また、GRL-120とPRDRVRsとの共結晶を作成、構造解析を行った結果、GRL-015, GRL-085と同様にPRDRVRsのflap領域にあるアミノ酸G48との水素結合が確認された。GRL-084, GRL-087, KU-241などの新規化合物の構造解析からflap領域と相互作用を形成する官能基、及びその修飾箇所の同定に成功した。これらの化合物とPRの結晶構造解析によりPR及びPRDRVRsと新規化合物群の結合にはflap領域との相互作用以外にファンデルワールス力が重要である可能性が示唆された。また、新規化合物がDRV耐性以外のPR阻害剤 (PIs) に対して耐性化したHIV-1及び多剤耐性HIV-1に対して効果を発揮する事を確認した。平成26年度に我々が国際的に権威のある雑誌であるPNASに論文 (Hayashi & Mitsuya, PNAS, 111: 12234-12239, 2014) として報告したように、DRV はPRに対し他のPIsであるsaquinavir (SQV) 及びnelfinavir (NFV) とは異なる結合特性を示す事から、G48及びflap領域に対する相互作用の形成が、結合特性の異なる種々のPIsに対して耐性を獲得した多剤耐性HIV-1に対して阻害効果を発揮する新規化合物の設計に重要である事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本基盤研究Bでは、これまでのウイルス学・分子生物学的手法に加え、結晶構造解析及び分子動力学的手法を用いてHIV-1がDRVやその他のPIに対して耐性を獲得するメカニズムを分子・原子レベルで解明し、得られた情報を基にDRV以上に高いgenetic barrierを有する新規抗HIV剤の設計・開発を試みる事を目的としている。 平成26年度実施予定であった (1) DRV耐性PRとDRVの共結晶を基にした分子動力学計算、(2) 新規抗HIV剤候補化合物の設計、(3) DRV以外のPIs (lopinavir, atazanavir及びsaqinavir) の高度耐性HIV-1株の誘導、(4) HIV-1のDRV耐性獲得メカニズムの解明、(5) LPV, ATV及びSQV耐性HIV-1変異株由来のPRとこれら薬剤の共結晶の作製 の内、(1)-(3) に関しては100%達成できた。(4)に関しては、分子動力学的な計算だけでなく、分子生物学的な実験結果を蓄積し仮説を立証する必要があるが、新規薬剤のウイルスアッセイの結果及び結晶構造解析学の結果から、既に目標の80%以上は達成できたと考えている。(5)に関しては、平成27年度に繰り越しとなるが、これは平成26年度に得られた新規化合物の結晶構造解析の優先順位が高いと判断した為であり、研究の進度が遅れた為ではない。実際、新規化合物の結晶構造解析の結果から、薬剤耐性メカニズムの解明と、今後合成する化合物の設計に非常に重要な知見が得られている。また、平成26年度は、DRVの結合特性に関する論文を執筆、国際的に権威のある雑誌であるPNASに掲載されるなど、予測以上と言ってよい成果を挙げた。以上より、現在までの研究はおおむね順調、又は予測以上に進度で進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、平成26年度に得られた結果を基に、新たな化合物の合成・開発・同定を行い、結晶構造解析によりその相互作用様式を解明する。併せて、耐性誘導実験を行い、新規化合物がDRV以上の高いgenetic barrierを有している事を確認する。平成25年度時点で問題であった、活性型PRの精製法についても既に改善されており、大量・迅速に高純度のPRを得る事が可能になった事から、精製したPRと化合物の結合速度 (kon) と解離速度 (koff) をBiacoreにより測定する。耐性度の異なるPRDRVRsを用いて、薬剤耐性が進むにつれてkon及びkoffがどのように変化するかを解析する事で、DRV耐性変異がPRのflap領域を不安定化しflap領域を開き易くする事で、DRVを解離しやすくしているという仮説を実証する。また、上述のように平成26年度に行った結晶構造解析の結果から、PR及びPRDRVRsと新規化合物群の結合にはflap領域との相互作用以外にファンデルワールス力が重要である可能性が示唆された。平成27年度は、結晶構造解析から得られた三次元構造のデータと分子動力学計算を用いて、PRが薬剤耐性を獲得するにつれてDRV又は新規化合物群とのファンデルワールス力がどのように変化するかを検討する。更に、平成26年度から繰り越しになったLPV, ATV及びSQV耐性HIV-1変異株由来のPR (PRLPVR, PRATVR & PRSQVR) とPRDRVRsに対して阻害効果を発揮した新規化合物との共結晶を作成、その相互作用様式を確認する。これらの実験結果から、HIV-1の薬剤耐性獲得メカニズムを解明、そのメカニズムに基づいた設計を行う事で、DRV以上に強力でgenetic barrierの高い化合物の開発が可能になる事を証明、論文として報告する。
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Causes of Carryover |
研究を進めるための支出をしていたが、端数が余った。その金額に合わせて必要のない物品を購入するより、繰越しをして次年度の臨床応用を前提とした小動物での実験などのために前年度の研究費と合算し使用する方が有用なため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費に合算し、臨床応用を前提とした小動物でのpharmacokineticsなどの実験に主として用い、また、一部は試薬等消耗品費としても使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] A Conserved Hydrogen-Bonding Network of P2 bis-Tetrahydrofuran-Containing HIV-1 Protease Inhibitors (PIs) with a Protease Active-Site Amino Acid Backbone Aids in Their Activity against PI-Resistant HIV2014
Author(s)
Ravikiran S. Yedidi, Harisha Garimella, Manabu Aoki, Hiromi Aoki-Ogata, Darshan V. Desai, Simon B. Chang, David A. Davis, W. Sean Fyvie, Joshua D. Kaufman, David W. Smith, Debananda Das, Paul T. Wingfield, Kenji Maeda, Arun K. Ghosh and Hiroaki Mitsuya
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Journal Title
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
Volume: 58
Pages: 3679-3688
DOI
Peer Reviewed
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